2014年4月16日水曜日

日本の国会で吃音が取り上げられた事案 第113回国会 文教委員会 第11号 昭和六十三年十二月十五日(木曜日)

1988年

第113回国会 文教委員会 第11号
昭和六十三年十二月十五日(木曜日)
   午前十時一分開会
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   委員の異動
 十二月八日
    辞任         補欠選任
     木宮 和彦君     岡野  裕君
 十二月九日
    辞任         補欠選任
     岡野  裕君     木宮 和彦君
 十二月十四日
    辞任         補欠選任
     久保  亘君     本岡 昭次君
     高桑 栄松君     中野 鉄造君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         杉山 令肇君
    理 事
                仲川 幸男君
                林  寛子君
                粕谷 照美君
                佐藤 昭夫君
    委 員
                小野 清子君
                木宮 和彦君
                山東 昭子君
                田沢 智治君
                竹山  裕君
                寺内 弘子君
                柳川 覺治君
                本岡 昭次君
                安永 英雄君
                高木健太郎君
                中野 鉄造君
                勝木 健司君
                下村  泰君
   国務大臣
       文 部 大 臣  中島源太郎君
   政府委員
       文部大臣官房長  加戸 守行君
       文部大臣官房総
       務審議官     菱村 幸彦君
       文部省生涯学習
       局長       齋藤 諦淳君
       文部省初等中等
       教育局長     古村 澄一君
       文部省教育助成
       局長       倉地 克次君
       文部省高等教育
       局長       國分 正明君
       文部省高等教育
       局私学部長    野崎  弘君
       文部省学術国際
       局長       川村 恒明君
       文部省体育局長  坂元 弘直君
       文化庁次長    横瀬 庄次君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐々木定典君
   説明員
       人事院事務総局
       職員局職員課長  武政 和夫君
       大蔵省主計局主
       計官       福田  誠君
       文部大臣官房審
       議官       熱海 則夫君
       厚生省児童家庭
       局母子福祉課長  炭谷  茂君
       郵政省放送行政
       局業務課長    團  宏明君
       労働省婦人局婦
       人福祉課長    堀内 光子君
       自治省行政局公
       務員部公務員第
       一課長      石川 嘉延君
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  本日の会議に付した案件
○教育、文化及び学術に関する調査
 (幼児教育の重要性とその対策に関する件)
 (小・中学校のNHK受信料免除廃止問題に関する件)
 (児童・生徒の登校拒否の原因とその対策に関する件)
 (障害を持つ海外子女の教育に関する件)
 (高石前文部事務次官に関する件)
 (私学助成制度の堅持・拡充に関する件)
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○下村泰君 この言語障害児というのは、私子供の時分にやっぱり経験もあるんですが、通常言語障害というのは吃音とかあるいは脳性麻痺とか、そういう病気によって思うようにしゃべれない、あるいは知恵おくれのお子さん、こういうふうに考えておったんですが、そうでない子がまたいるんですね。例えば早口になってしまって言葉が言えない。だから卵とは言えない。タ、タ、タ、タとなるんですね。どもるのとはまた違うんですね。そうかと思うと今度は空気が抜けるみたいにターマゴというようなこと。そういったいろいろな言語障害のお子さんがいらっしゃる。こういうお子さんに対する教育というのは大変なものだと私は思うんです。
 これは文部省が昭和五十八年に出しているものです。その中に「言語障害児の教育の場は、その子供の障害の状態によって様々です。精神発達遅滞に伴う言語障害児は精神薄弱養護学校で、脳性まひに伴う言語障害児は肢体不自由養護学校で、聾児、難聴児は聾学校や難聴特殊学級で、また情緒障害に伴う言語障害児は情緒障害特殊学級においてそれぞれ教育されています。他の障害を伴わない言語障害児は、おおむね通常の学級で学習をしながら、その障害に即した特別の指導を言語障害特殊学級で受けています。」この「他の障害を伴わない言語障害児」というのが私が言ったことなんですけれども、こういう子供たちというのは、ほかの学問に対しての知能指数というのは別に低いわけでも何でもないですね。むしろ中には非常に頭のいい子がおる。ただ、頭いい子なんだけれども、人とお話をするときはお話がうまくできない。そのために特殊学級へ通う。
 養護学校とか、今申し上げたその中にある特殊学級に通う子供はいいわけですけれども、例えばほかの特殊学級へ、ほかの学校に、自分の校区じゃない方の校区に特殊学級があって、そこへ通わなきゃならない。先ほど局長がおっしゃった。中には自分のおうちを売り払ったりして自分の子供の言語障害教育のためにクラスのある校区へ引っ越す方もいらっしゃる。引っ越せる方はいいんですよね。引っ越しのできない経済状態にある子供はどうするかということ。今おっしゃったように、そういう子供さんがだんだん少なくなれば統廃合しなきゃならないとなって、統廃合されたあげくの果てが通えないような状態になったらどうするかという問題があるわけですね。こういうことどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○政府委員(倉地克次君) 定数上の観点からまいりますと、私ども一人でも障害児がおられた場合には特殊学級が編制できることにはなっている次第でございます。ただ、実際問題といたしまして定数にも限度がございますので、市町村は都道府県とよく相談しまして、一定数の障害児がお集まりになった学校に特殊学級を置くというようなことをやっているかと思う次第でございます。
 ただ、今先生がおっしゃいましたように、もう遠くなってどうしても通えないというような実態があれば、その辺は市町村におかれてもよくその辺を把握されて、特殊学級の設置の方針について弾力的にお考えいただく必要があるんじゃないかというふうに考える次第でございます。そういう点につきまして、今先生の御質問もあったことをよく会議などで伝えまして、その辺について市町村、都道府県も弾力的に対応できるようにひとつ指導してまいりたい、かように思っております。
○下村泰君 ありがとうございます。こういう問題というのは、やらなきゃならないという際立って、何といいますか、押しつけがましくできる問題でもないし、やっぱり人間の問題ですからね、根底にあるものは。ですから、各地方自治体でもそういったことに対しては、弾力的なんという言葉あるけれども、融通きかしてうまいこと処置していただけるようにひとつ御指導のほどをお願いしておきます。
 そこで、大臣、こういうのがあるんですがね。カラオケを使って大変うまく効果が上がっているというのが出ているんですけれども、長崎市の長崎大附属養護学校、ここでカラオケを使ってやりまして、子供たちが歌が大好きで、自分から進んでマイクを持って人前で歌うことが自閉症などの克服に役立っている。それから、この学校に錦戸良久さんという教頭がいらっしゃるんですけれども、「一言もしゃべらなかった子がカラオケセットを使って人形劇のナレーターをやったり、脳性マヒで言葉が不自由な子がリズムに合わせて体を揺するなど、自己発表できるようになった。国語の時間には音楽を通じて言葉の勉強も、とカラオケの利用状況を説明する。」、こういう効果も上がっているんですね。
 それから、宇都宮市にある栃木県立野沢養護学校はことしの三月にやっぱりカラオケを購入して、脳性麻痺による言語障害の児童生徒が多く、積極性を養うのが目的なんですが、「伴奏のリードがあって、エコーがかかるカラオケは、吃音の子もあまり緊張せずに歌うことができる。」んだそうです。卒業して社会に出て、カラオケで一曲求められることがあった。そういうふうにまで歌えるようになったというんですね。それから、ある学校でこんなことを言っていますね。長崎県の諫早市の県立諫早養護学校で、この六月に購入したばかりですが、この校長先生が「私もちょっと首をひねったが、厚生設備としてこの程度ならいいんじゃないか、と思った。障害児はどうしても人見知りで、孤独になりがち。ひととふれあう、という意味からもカラオケの効果があるだろう」と、こういうふうにおっしゃっている。それで文部省特殊教育課のお話。「障害児の能力開発にはさまざまな試みが行われているが、カラオケというのは珍しい。音楽を使っての指導、ということだが、どんなアプローチが出来るのか、興味深い。ただ、カラオケセットを公費による補助対象教材とするにはまだどうも……」と、もう何か銭を取られるんじゃないかと思って逃げているんですね、ここのところも。まだそこまでいってないんです。
 こういったように、意外とこういうことが効果が上がって、いつかも大臣にもお話ししましたけれども、アメリカから来たエアロビクスの先生に、まるで縛帯されて、縛られている子供さんの前でエアロビクス体操と。すると、何の効果もないだろうと私は申し上げて恥かいたんですけれども、とにかく体を動かそうとするだけでも効力があるんだから、まして言語障害といったような子供さんたちがこういうことで効果があるとすれば、やはりこれ何か考えなきゃならないんじゃな
いかなというふうな気がするんですけれども、いかがでしょうか。
全文
http://kokkai.ndl.go.jp/SENTAKU/sangiin/113/1170/11312151170011a.html

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