2014年10月14日火曜日

独立行政法人 労働政策研究・研修機構がHPで公開している研究成果 > 資料シリーズ > No.123に吃音のことが書かれている。

吃音のことが書かれているのはこの研究の中に資料として添付されているPDFファイルである。

研究の目的はこうだ。詳細はリンク先を確認。

資料シリーズ No.123 平成25年6月28日
若年者就職支援機関における就職困難者支援の実態
―支援機関ヒアリング調査による検討―
概要
研究の目的
若年者就職支援機関において、来所者の中でも特に就職困難に思われるような若年求職者について、その特徴や支援における配慮等について把握し、整理することで、今後の効果的で有効な若年就職支援のあり方を検討する上での基礎資料とすることを目的とする。

研究の方法
若年者就職支援機関として、新卒応援ハローワーク(9機関)と地域若者サポートステーション(12機関)に対しヒアリング調査を実施した。ヒアリング先の選定は、就職困難性に関連した事例を持つ等の実績がある機関を中心に選定した(結果的に都市部中心の選定となった)。

ヒアリング対象者は、日常的に若年の来所者と向き合い、支援を行っている相談担当者(支援者)を中心に各機関に適切な回答者の選定を依頼した。支援の実態を把握している職員であれば、役職や雇用形態は不問とした。1機関で複数の支援者が同時に回答する形式も受け付けた。結果として、新卒応援ハローワークでは全27名、地域若者サポートステーションでは全20名の支援者から回答を得た。

■主な質問項目

来所者の特徴(行動上の特徴、心理的背景等の特徴)、来所経緯
標準的な支援の流れ、支援方針
来所者の適性把握の方法と特徴
就職に時間がかかりそうだと判断される場合、その来所者の特徴や見極め
就職困難なケースの具体例(早期離職した来所者の動向、障害やうつ等の精神疾患が疑われる来所者の動向)
今まで実施した支援の中で印象的だった支援事例(成功事例、失敗事例等)

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2013/13-123.htm


そしてこの研究の「資料」として添付されているデータである。
そこにたった一個であるが「吃音」という単語がでてくる。
その資料のリンクがこちら。PDFファイルである。
http://www.jil.go.jp/institute/siryo/2013/documents/0123_02.pdf

この中の144ページにて吃音のことが書かれている。
こうである。

(3)利用者のうち特に困難な来所者の見極め
○席に座るまでの間の態度でわかることもある。受付で書類の向きをそろえて出せる人
は良いのだが、カバンからぐしゃぐしゃになった紙を出してくる人や、座ってひじを
ついて話すような人は就職活動に苦戦する。このような人は男性に目立つが、女性に
もいる。

○例えば、コツコツ系の仕事が向いていると思っている男性で、医療事務を希望するケ
ースがある。しかし医療事務の求人は女性が中心であり、夜勤ができる等の条件がな
いとまず男性向けの求人がないことを知らない(資格があれば誰でも就けると思いこ
んでいる)。特に、医療事務系の専門学校に数年通ってしまっている男性だったりする
と、方向の修正がきかない。最終的には、コツコツ系を活かせるような他に合う仕事
を探すことになる。同様に、簿記の資格をもっているので経理の仕事にすぐ就けると
思いこんでいるケースもある(経験がないと採用されにくいことを知らない)。このよ
うなケースでは就職活動に苦戦する。

○就職が難しいのは、希望求人の職種や業種がバラバラな場合である。思いこみが強く、
自分に合わないものを持ってきたりする。過去の応募傾向をみると、この人は就職が
難しそうだなと判断できる場合もある。

○困難性の見極めは五感に頼るとわかることが多い。求職申込書を書くスピード(作業
速度)の遅さ、人と人との間合いの取り方とその時の声の大きさ(近い人同士なのに
不自然に大声で話をする等)、指の細さ、口元のけいれん、吃音が出る、体型など。全
体をみるとわかることがある。

○話しぶりやソーシャルスキルの面で、具体的に会話が成立しない人も苦戦する。

○ハローワークに来ても自分が何をしたくてどのような支援を求めているのかをうまく
伝えられず、一方的にサービスの受け手(お客さん態度)になってしまう人も就職活
動に苦戦する。





さて、この研究資料に書かれているデータは就職を応援してくれる「新卒応援ハローワーク」や「若者サポートステーション」で勤務する職員にヒアリングを行った結果のようだ。その中で「利用者のうち特に困難な来所者の見極め」という、職員が「この来所者はどんなタイプか?健常者?障害者?ボーダーライン?ただ常識がないだけ?マナーを知らないだけ?」といったことはどうやって見極めているかという虎の巻のようにも見える。吃音のことを取り上げたページだけを見るよりも全文を読むとますます、職員の実体験が見えてくる。

その中で吃音のことが紹介されているのである。
就職をバックアップしてくれる国と厚生労働省から委託されて置かれている施設の職員がこのようなものさしを利用して慎重に「来所者」をチェックしているわけである。その困難性の1つに吃音があげられているわけである。

となると筆者はこのように想像してしまった。そもそも若者サポートステーション
http://www.mhlw.go.jp/bunya/nouryoku/ys-station/

の職員が「この来所者はどのような人物なのか?」という事を見極めるならば、このようなことを感じているならば、このような来所者にはどうやって対応すればいいのか?マニュアルがあるのかもしれない。

そして通常の企業の人事部門も同様に考えているのではないか?企業の人事部門にもこのようなマニュアルが実は存在しているのではないかと。であるならば吃音者には相当就職活動は不利だと思ったほうがいいのかもしれない。

例えば企業に面接に行った際に「私は吃音がありますが頑張ります!」とか履歴書に明記することや、面接でカミングアウトするのは自ら墓穴を掘っているのかもしれない。

また、今回この独立行政法人 労働政策研究・研修機構の研究を見て感じたことは、どうやら支援が必要な吃音者が存在するということである。セーフティネットも障害者手帳もないまま、新卒応援ハローワークや若者サポートステーションに行ってなんとかしたいと悩んでいる吃音者がいるということであろう。

新卒応援ハローワークや若者サポートステーションは【17文科初第16号 厚生労働省発障第0401008号】を知っているのか?吃音者が来所した場合は障害者手帳が取得できますよ。と教えているのかも気になる所である。


吃音者は今後いったいどうすればいいのか??

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