2016年2月23日火曜日

2016年2月28日大阪言友会 きつおん講座 言語聴覚士 吉澤 健太郎氏(北里大学東病院リハビリテーション部)

2016年2月28日のイベント紹介


きつおん講座「吃音の基礎知識」
専門家を招き、吃音の基礎知識を教えていただくとともに、病院で行われている発話訓練について解説していただき、希望者には実際に体験していただきます。また吃音に関する疑問、質問にも答えていただきます。
【会場】大阪社会福祉指導センター
【時間】13時半〜16時半(受付開始13時)
【講師】言語聴覚士 吉澤 健太郎氏(北里大学東病院リハビリテーション部)


http://osakagenyukai.wix.com/osaka-genyukai#!blank/l4w2t

【重要】吃音と発達障害の併存について日本音声言語医学会の学会誌より紹介


吃音と俗にいう発達障害の併発事例の研究事例を紹介
本邦において、一般に言われる発達障害と吃音の併存を扱う研究はとても少ないので
今回これを発表した専門職のみなさんに心から感謝をする。ありがとうございます。



俗にいう発達障害とは自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、学習障害、チック・トゥレット症候群である。
http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html

日本音声言語医学会の学会誌 Vol.57 No.1,2016.1
に『吃音に併存する発達障害・精神神経疾患に関する検討 Developmental Disability and Psychiatric Conditions in 39 Patients with Stuttering 』が掲載された。
富里 周太  大石 直樹  浅野 和海  渡部 桂弘  小川 郁


要約では
吃音は社交不安障害などの精神神経疾患や発達障害が併存しうることは指摘されているが、
これらの併存疾患に関する本邦からの報告はいまだ少数である。そのため、本邦における吃音
と併存疾患の関連を検討することを目的に、2012年と2013年に慶應義塾耳鼻咽喉科を受診し
吃音と診断された39症例について、併存する精神神経疾患および発達障害の有無を調べ、
性別、年齢、発吃年齢、吃音頻度との関連を後方視的に調査した。

併存する精神神経疾患として、気分障害(うつ、適応障害)、強迫神経症、てんかん、
頚性チックの合併を15%に認めた。発達障害の併存は疑い例や言語発達障害のみの
症例を含め18%に見られた。発達障害の有無によって吃音頻度、性別、年齢に有意差
は見られなかったが、発吃年齢は発達障害併存で有意に高い結果だった。
吃音は発達障害が併存することにより、発達障害を併存しない吃音とは異なった
臨床経過を示す可能性が示唆された。









この研究は後方視的に、吃音と診断されたあとの吃音当事者に発達障害やその他の精神神経疾患があるかどうかを調べたとのこと。

要点は「吃音を主訴として病院に訪れた者」であること。それを後から調べなおしたということだ。

この検討では

発達障害,言語発達障害の併存例は,疑い例を含め
て18%の併存率であった.Bouletら1)の報告では吃
音児の50.9%に発達障害が併存していた。しかしなが
ら,同報告は発達障害や神経疾患を専門としている病
院からの報告であり,併存率が高くなるような選択バ
イアスが掛かっているものと考えられる。
一方、本検討のデータも大学病院におけるデータであり,一般的
に重症例が受診する傾向がある大学病院における臨床
統計は,選択バイアスにより高い併存率が見られる可
能性がある。
と書かれている。
ここはどう考えればいいだろうか?

・日本特有の吃音情勢から考えると筆者は寧ろ、18%少ないだろうと思う。
そもそも日本特有の吃音文化において、『吃音は障害者ではない。病院に行ってはいけない。治そうとしてはいけない』などという主義があるので、そもそも病院に行くという選択肢が存在しない。吃音も一般に言われる発達障害を併存していても困っていなければ病院には来ない。病院に来ないということは記録されない。

・また、自治体の障害者福祉課なども、発達障害者支援法を理解していないため、吃音が発達障害であり病院で診療できること理解していない。一生に一度の「本当は生きたい!働きたい!助けてよ!!」というSOSを最後の勇気を振り絞って役所に相談に行ってもそこで人生が詰むのである。そのため吃音当事者団体よりも一般に言われる発達障害者当事者団体やひきこもりの会のほうに、隠れ吃音者が存在する。こちらを考えれば18%以上になると思う。

吃音当事者でも未診断である(吃音や発達障害があるが、困っていない。または障害者と言われるのが嫌だなどの理由)が、明らかにASDやADHDやLDを併存していると思われる当事者が存在する。※『吃音は病気じゃない。吃音は障害者じゃない』という、とても強いこだわりも発達障害の症状の1つであろうと考える。 一般に言われる発達障害者も生まれ育った環境が「障害者を見下す、障害者を可哀想だと思う、障害者は劣っている」という環境で成長すると、その当事者が、なんと自分自身が発達障害者だったと告知されたときに精神的ダメージを負う事例と同様である。

これだけ日本国特有の吃音情勢・吃音文化があれば、併存はもっと多いだろう。

・吃音や一般に言われる発達障害が1次障害として、外在化障害(発達障害→反抗挑戦性障害→素行障害→反社会性パーソナリティ障害)の進行がおこる。内在化障害(発達障害→受動攻撃的反抗不安障害・気分障害→境界性・回避性・依存性・受動攻撃性パーソナリティ障害)の進行がおこる。

吃音者でも外在化障害、内在化障害が、その人の生まれ育った環境によって発生する場合がある。攻撃的な吃音者、極度に内向きな吃音者、出来る限り回避する、タバコ依存、ギャンブル依存、アルコール依存、性行為依存、他人を試す行為を行う吃音者は存在する。一方で安心安全な場所で生まれ育った吃音者もいる。このあたりも専門職のみなさんには調査研究してほしい。


・今後は、発達障害の診療において、吃音があるかどうかを、発達障害に力を入れている医師が診療診察段階でチェックするようになれば。この検討の併存18%は越えるだろうと筆者は考える。

吃音を主訴として病院に行けば、それは吃音を注目される。
一般に言われる発達障害を主訴にして病院に行けば、それは一般に言われる発達障害を注目される。

問題なのは日本国内の吃音は障害者じゃない。身体障害である。耳鼻咽喉科医師がメインで診療していた。という『空気感のもとに』構築された診療診察システムの問題であり、本来は併存していたが見落とされていたとのでは?ということである。耳鼻咽喉科、精神科医に関係なく、 自閉症スペクトラム障害、注意欠如多動性障害、限局性学習障害、読み書き障害、チック、トゥレット、吃音、不器用等の発達障害の特性に関する早期発見のためのアセスメント手法が普及することが急務である。

幼少期に発達障害を早期発見されて、安心安全な場所で親御さんも色々な支援メニューを選択できる状態になっていないと、親御さんは疲弊する、子どもも外在化障害や内在化障害で苦しむかもしれない。しなくても良い嫌な経験をする吃音者がこれからも出続ける。北海道の吃音看護師さんのような悲しいことが起こるだろうと思う…。


今回の検討結果を発表した専門職のみなさんには、ぜひ、発達障害の専門医とも協力して、発達障害者の中に吃音者がいないのか?という逆パターンを調査してほしい。

2016年2月2日火曜日

Twitterに興味深い投稿があったので紹介 真っ暗なトンネルで突然置き去りにされる

Twitterにこのような興味深い投稿があった。
これは吃音をもつ子どもの親も同様ではないだろうか?










吃音者は一度でも病院に行けば、健康告知をする商品サービスに加入できない??

みなさんは吃音が心配で一度でも病院に行きましたか?
それはいつでしょうか??
子どもの時? 大人になってから?
子どもの時だと親や保護者が子どもの意思に関係なく連れていきますよね。


さて、こんなニュースがあります。
障害者業界では有名なニュースです。吃音者のみなさんは初耳かもしれません。

うつを放っておくと、保険に一生入れない?(加藤梨里 ファイナンシャルプランナー)
2016年02月02日 05:00
加藤梨里 ファイナンシャルプランナー
http://sharescafe.net/47681033-20160131.html


吃音の場合は耳鼻咽喉科、精神科は関係なく病院にいってしまえばそこで終わりです。
国際的な診断基準、ICD-10、DSM-5で障害となっている。日本では発達障害者支援法に定義されている発達障害となっているので健康告知をする商品サービスには加入できません。

健康告知をしなければけない商品サービスを提供する保険会社などはちゃんと情報収集をしています。法律も診断基準も何もかも、協力医師も情報提供しています。
吃音+うつ病 吃音+社交不安障害 吃音+適応障害 などもアウトです。
吃音で心が辛い、死にたい、と思っても気軽に病院にはいけないのです…。
吃音で困っていも将来生命保険や住宅ローンを考えるなら1回も病院に行ってはいけないのです。
もちろん生命保険や住宅ローンを利用しない人は、すぐに病院にいくほうがいいと思います。吃音で思い悩んで自殺なんてことはしてほしくありません。


吃音で気軽に病院に相談
というのも実はリスクがとても高いのです。
とくにお父さん、お母さんは、将来子どもが生命保険や住宅ローンに申し込み困難になると事前に知っていましたか?知っていれば病院にいくのを止めましたか?どうでしょうか?


しかし本当に変な仕組みだなと思います。
これは障害者全般の問題です。
障害者は一般の生命保険などに加入できないので、障害者向けの保険商品を販売する企業もあります。しかしいざというときの支払われるお金は大きな差があります。
■うつ病になると生命保険に入れない
生命保険に契約するときには、健康状態を保険会社に伝える「告知書」を書く必要があります。健康状態というと、体の病気・けがを想像しがちですが、心の病気も含まれます。うつ病は、一般的な生命保険ではほとんどの場合で告知すべき対象とされています。
一般的な生命保険の告知書では、健康状態を次のように問われます。
(1)最近3ヶ月以内
医師の診察・検査・治療・投薬(薬の処方を含む)を受けたことがありますか?
(2)過去5年以内
・病気やけがで7日以上の入院をした、あるいは手術を受けたことがありますか?
・(所定の病気・けがで)医師の診察・検査・治療・投薬を受けたことがありますか?
(3)過去2年以内
健康診断、人間ドックを受けて、異常を指摘されたことがありますか?
※実際の告知書では、上記以外の質問も含まれます。
もし過去5年以内に、医師にうつ病と診断されたことがあれば、多くは保険に契約できません。契約はできても、保障内容などに条件が付き、契約する人にとって不利な内容になります。
仮にうつ病の診断・治療歴がありながら、それを隠して契約してしまうと「告知義務違反」といって、保険の契約が解除されてしまったり、いざ死亡したときに保険金を受け取れないなどの措置がとられてしまいます。
この原則は、死亡したら保険金が支払われる「死亡保険(いわゆる生命保険)」だけではなく、病気やけがで入院した時のための「医療保険」でも同様です。

■うつ病だと住宅ローンも組めない
うつ病は、住宅の購入にも影響することがあります。住宅ローンには、ローンの契約者が万一亡くなった時に債務を保証する「団体信用生命保険(団信)」がついていることがあり、この契約に告知が必要だからです。
告知の内容は、基本的に一般的な生命保険と同じですが、告知すべき対象が過去3年以内となっているのが特徴です。
告知事項には、おもに以下2点が含まれます。
(1)最近3ヵ月以内に医師の治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。
(2)過去3年以内に所定の病気で、手術を受けたことまたは2週間以上にわたり医師の治療(指示・指導を含みます。)・投薬を受けたことがありますか。
※ここで、所定の病気にはうつ病が含まれます。
告知の方法は、基本的には一般的な生命保険と同じです。もし3年以内にうつ病で治療を受けたことがあれば告知が必要で、団信には契約できません。団信がセットになっている住宅ローンの場合は、ローン自体の審査も通らない恐れがあります。
もちろん、うつ病であることを隠して告知義務違反をしてしまうと、万一ローンの契約者が死亡しても保険金が支払われず、住宅ローンは完済されません。