2016年4月26日火曜日

【解説】ラヴソング第三話を吃音当事者が解説

第二話の解説はコチラ
【解説】ラヴソング第ニ話を吃音当事者が解説
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/04/blog-post_12.html


ラヴソング #3 感動のライブステージへ!あなたを想って歌います


1.3週間後にキミはここで歌う シーン
神代はさくらを安心させる意味も含んで、ライブハウスにさくらを連れて来ているようです。
ここでは広島カープのお話がでてきます。
第二話でもLINEと思われるメッセンジャーでさくらが真美にこんなスタンプを送信していました。
https://store.line.me/stickershop/product/1169177/ja

さくらの親御さんの話ができますね。
ここで神代はさくらの両親がいないことを知ることになります。
母親はガンで亡くなる。
父親はそもそも知らない…。ということが判明します。

暗い話題の後に咄嗟に?さくらは神代に「好きな人、彼女はいるの?結婚しているの?」と質問しています。さくらが一生懸命、自分の本当の気持ちを出しているシーンだと思います。

なんとなく、さくらからの質問を躱す神代ですね。
神代はおそらく患者からの電話に応対していますが。病院や職場以外でこうやって電話に応じてくれる臨床心理士はスゴイと思います。

2.新宿駅周辺で指輪選びをしている真美と野村がさくらと神代を発見するシーン
真美と野村の2人が幸せそうなシーンです。
真美も元気に復活していてよかったです。

2人は指輪選びをしているときに偶然、さくらと神代を見つけてしまいます。
真美は「だれ?あのオッサン!あの人がうわさの??」と神代を初めて見ることになります。
さくらが神代の後ろをニコニコしながら付いて来ているところが印象的なシーンでした。

3.さくら、真美の家に空一が遊びにきているシーン
真美はさくらに足の裏マッサージをしてもらっています。
真美はさくらのお姉さん的な、お母さん的な立場でさくらと神代の関係を突っつきます。
いろいろ教えてくれる神代のことを真美は「なんかエロいー」とイジります。

それを聞いている空一はジェンガを倒してしまうなど、大きく動揺していますね。
空一がさくらを異性として意識しているのはなんとなくわかりますね。

さくらが歌を歌うことを知った真美は、とても喜んでいますね。
真美が結婚して、同じ家に住めなくなるかもしれないこと、さくらもさくら自身なんとかしなきゃと思っている気持ちを真美はとても喜んでいるように思います。

4.夏希の家に帰宅した神代 転移と逆転移について指摘されるシーン
神代がお手洗いで立って済ますのか?
座って済ますのか?という問題は置いておいて。

夏希はさくらとの距離感に気をつけないとそれとなく注意します。
「陽性転移」に気をつけないといいます。

陽性転移というのは患者側が医療従事者側に好意や恋愛感情などを持つことです。
転移というのは患者側が医療従事者側に特別な感情を持つことです。
逆転移とは医療従事者側が患者に特別な感情を持つことです。

今回、フジテレビでラヴソングの放送が始まってから、医療従事者と患者の恋愛を描くドラマはNGなのではないかという声が出てきています。ブログ主もこの点かなり心配しています。


5.夏希のスピーチクリニックで神代との恋愛感情について指摘されるシーン
神代とさくらがライブの練習をしているシーンが短く紹介されていきます。
セリフはないですが、さくらがとても幸せそうです。ノリノリで仕事をこなしているのも見ている視聴者までニコニコしそうです。このシーンのあとにさくらが夏希のクリニックに訪れることになります。

このシーンでも背景のホワイトボードに「オペラント学習」、夏希の持っている書籍が「スピーチリハビリテーション」という実際の書籍が登場していますね。フジテレビのドラマ製作スタッフはとても丁寧な取材をしているのだなと感じます。

夏希は自分の恋愛話から、さくらの恋愛事情に話を切り込んでいく所が自然で凄いなと思います。医療従事者の人は本当にここらへんが腕の見せ所ですよね。

夏希は「そういう優しさを恋愛と勘違いしていまう。医学用語で陽性転移とか恋愛転移っていうんだけど」とさくらに説明します。もしも神代にそういう感情があっても、いつか自然に消えていくものだからといいます。

そう言われてしまったさくらはとても動揺していますね。吃音を少しでも良い方向にするため、スピーチ練習をすることを忘れて帰宅しようとしてしまいます。さくらは神代に恋愛感情はあるようですね。

6.神代と志津子のシーン
病院のシーンです。
このシーンは、本編と関係ないように思いますが。何らかの伏線として回収されそうです。
神代が普段色々な仕事をしていますよー的な説明シーンもあるかもしれませんが、深いメッセージはあると思います。志津子が「自分の人生にしっかりとケジメをつけたいの」というセリフは神代にグサリと刺さっているのではないでしょうか?


7.さくらが自宅で音楽の勉強やインターネットで調べ物をしながらうたた寝しているシーン
さくらは自宅で音楽の勉強と「転移」について調べていたようです。仕事を終えて帰宅した真美が机でうたた寝しているさくらのパソコンをチラッと見てしまいます。

さくらも、神代に対する恋愛感情が気になっているようです。真美もそんな情報を調べているさくらが心配のように見えます。

8.さくらのギター選び
ひとつ前のシーンと違い、明るい描写のシーンです。
さくらと神代の歌の練習。
さくらが使うギターのメンテナンス?新しく購入するのでしょうか?
さくらはギターの演奏方法を練習しています。

さくらは「ミカサツカサ」という住所をここで記憶しているのでしょうか?
後々のお話でミカサツカサは登場するのかも???

9.ライブハウスSで笹と神代とさくらのシーン
ここでは何を考えどう歌うのか?とライブの心構え的な説明があります。
笹は本当に聞いて欲しい相手のことを思い浮かべながら歌えばいいんだよとアドバイスします。
神代は空一のことを持ち出します…。
さくらは感情が揺れ動いているように見えます。

10.さくらの自宅で空一と
空一はいつもいつも「臨床なんたら」といいますね。
空一も空一なりにさくらのことをとても心配していることはわかります。
ギターは結局、新品を購入したようです。
結局売り言葉買い言葉で空一とさくらは喧嘩してしまいますね。

このシーンで重要なところは、さくらが言うように
「歌うときはどもらないから!!」

そうこれです。

吃音者は歌唱するときはどもらないんです。(そうでない人もいるかもしれませんが…)
まだ原因やそのメカニズムが不明な吃音ですが。脳神経の「発話しなさいという命令回路」
と「歌を歌いなさいという命令回路」が別々なのかもしれませんね。


非吃音者(健常者)のかたは不思議に思うかもしれませんが。発話と歌唱にはこのような違いがあるとだけ知っておいてもらえれば嬉しいです。くれぐれも、歌は歌えるのに話せない人だ!と評価しないでほしいです。

11.空一が綺麗なお姉さんとお食事
調理専門学校の職員渡辺と空一が食事をしているシーンです。
渡辺は若い男子が好きな綺麗なお姉さん的役割のようです。
ドラマでは、綺麗なお姉さん的な役だけで終わるのか?もっと他の重要なキーパーソンなのか?どうなるでしょうか。

12.さくらがスピーチクリニックにくるシーン 偶然、神代のミカサツカサと夏希のミカサツカサがつながる

夏希の住所がミカサツカサ、神代の住所もミカサツカサ。
ってことはこの2人は同棲しているの?実は交際しているの?ってさくらの中でグルグル思考が始まるシーンです。

これが原因で、歌の練習に身が入らないさくらでした。
ずっとグルグル思考をしているのでしょうね。神代と夏希が交際している?
それで夏希が以前、クギを刺してきたのか?
神代は本当に仕事だから、私に優しいのか?
グルグルグルグルグルグルしています。

13.ライブハウスのシーン
ライブハウスのカウンター席で盛り上がる、神代や以前からの親友たちに話しかけられないさくらがとても印象に残ります。

本当にこのドラマ、ラヴソングで、もう一つ頑張ってほしかったのは、副音声でのさくらの心の声放送です。さくらは一生懸命に神代や夏希や仲間たちの輪に入ろうと必死になっています。頭の中、心の中では言いたいこと発話したいことは全部わかっているんです。でもそれを発話できないのが吃音障害なのです。フジテレビには、今からでもいいので、吃音者の心の声を副音声で放送してほしいと思います。

14.緊張しているのか 人酔いしたのか さくらは煙草を吸うために外にでてしまいます
一瞬、さくらと一緒に神代も煙草に火をつけるのかな?と思いましたが…。
ここで、さくらが結婚して苗字が変化すると言いやすくなる描写がされます。
これも吃音者あるあるです。とくに女性吃音者は結婚して苗字が変われば、この人生から辛い人生から解放されるのではないかと思う人もいるのです。

また、ここで、さくらは神代に優しいですねと質問します。陽性転移しちゃいますよとまで探りをいれています……。

さくらは「先生のことを思って歌ってもいいですか?」と質問します。
神代は「今夜はキミだけを思ってギターを弾く」といいます。
神代の中でも何か、変化があったようです。
「次に進むため」とはどんな意味でしょうか?

16.無事に歌い終わって自己紹介をするシーン
さて、吃音者の絶体絶命デンジャラスゾーンです。
歌を歌っているときよりも、重圧です。
さくらの手の動き、顔の表情、口の動き、本当に吃音者を観察して演技をしているのだなと感じます。ニュース報道によると全国言友会連絡協議会の監修と、吃音演技指導の川端鈴笑さんという人がさくらに演技指導をしているようです。だからとてもリアルなんですね。

うまく発話できない、さくらに配慮して神代がメロディを奏でます。これにのせてさくらが自己紹介をします。

落ち着いて がんばれー もういいから歌えよ 
と会場から声援?がありますが、こういうのも吃音者にはプレッシャーになります。


17.もう一曲歌いたいと言ったさくら とそれができない神代
ここはどんな描写なのでしょうか?
神代の古い友人が「春乃といるときみたいだな」といいます。
多分これでしょう。
第二話でもエンディングの前に、神代の記憶がフラッシュバックしています。

さくらがもう一曲歌いたいと神代に伝えた時に、神代のなかでまた、古い記憶がフラッシュバックしたのでしょうか?

さくらはそんな過去があったことを知らないので、神代から拒絶された、本当に患者扱いなんだとショックを受けたかもしれません。


2016年4月25日月曜日

ドラマ ラヴソングは医療従事者と患者の「恋愛」まで描くのか?

過去記事で掲載したのですが、ラヴソングについても転移の指摘があったので紹介します。

●<「Dr.倫太郎」は治療倫理より愛が勝つ?>堺雅人・精神分析家は蒼井優・患者との一線を越えるか
http://news.mynavi.jp/news/2015/06/12/193/

というニュースがあります。
このニュースを書いた人は高橋秀樹さん[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/社会臨床学会会員]という方です。

この高橋秀樹さんが、今回のフジテレビ月曜夜9時ドラマラヴソングにも恋愛転移のことについて指摘をしています。ブログ主もこれはラヴソングというドラマの展開でとても気になっていることです。

高橋秀樹さんがラヴソングについて書いた記事
●<月9「ラヴソング」>なぜ臨床心理士・福山雅治は恋に落ちてはいけないのか
http://mediagong.jp/?p=16662


高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/日本社会臨床学会ほか会員]
***
月9である。福山雅治である。タイトルが「ラヴソング」である。
オーディションで選ばれた新人・藤原さくら演じるヒロイン・さくらは吃音症である。
福山演じる広平は臨床心理士である。
・・・と、ここまで分かればストーリーはほぼ想像がつく。福山の献身的なケアによって、さくらの吃音症は次第に改善していく。23歳年上の広平にさくらは惹かれ、やがて恋心を抱く。吃音は治り、2人は恋人同志になる。または吃音があったとしても広平はそのままのさくらが好きだと告白する。どっちになるのだろう。
この筆者の予想を全く裏切ってくれるとすれば、それはそれで嬉しい。ドラマの2回目を見たが、脚本はおそらく6、7話ぐらいまでできあがっているのだろう。
【参考】<テレビドラマ崩壊現象が進行か>フジ・ドラマ名門枠「月9」で『いつ恋』が史上最低視聴率9.7%
気なるのは広平が臨床心理士であると言う点である。臨床心理士は職業規範としてクライエント(治療対象者)に恋愛感情を抱くことは厳しく禁じられている職業である。
多くクライエントは自分の担当の臨床心理士に恋ごころを抱くようになる。これを専門的には「逆転移」という。この「逆転移」が起きないように臨床心理士は注意深くケアを進めなければならない。
「逆転移」の状態が発生すると、臨床心理士側もクライエントを好きになってしまうことがある。これを専門用語では「転移」という。本当の治療はこの「転移」「逆転移」を乗り越えてこそ行えるようになるというのがこれまでの考え方である。
臨床心理士の仕事の基本は「傾聴」「共感的理解」「受容」である。一生懸命話は聞くが指示はしないというのも基本姿勢である。
広平はさくらの働く自動車整備工場に企業カウンセラーとして週に2日勤務しているという設定だ。大企業には企業カウンセラー、産業カウンセラーなどがいて、心のケアに当たるところも増えてきた。
が、ドラマで見る限りの規模の工場に企業カウンセラーが配置されているのはよほど福利厚生に関心が高いか、企業カウンセラーがいないと仕事が回らない程のブラック企業と言うことかも知れない。
【参考】<佐世保女子高生殺害事件>自閉症スペクトラム者を殺人と結びつけるのは妥当性を欠くニュースだ
吃音症の治療には広平のような臨床心理士よりも、水野美紀演じる言語聴覚士が当たるのことが多い。田中哲司が耳鼻科医なのも、耳鼻科医が吃音症の治療に当たることもあるからであろう。
臨床心理士や言語聴覚士は医師ではないので診断も投薬も出来ない、基本的には医師の指示のもとにそれを助けるのが彼らの業務なのである。
こういう障害モノのドラマの場合、あざとさ、嘘くささが見えてしまうと失敗であると筆者は思う。UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)には、日本でも放送されていた米国ドラマ『ER緊急救命室』等に医療情報を提供する研究機関がある。
この研究機関のモットーは「エンターテインメントファースト、メッセージセカンド」であり、ドラマを面白くすることを第一義として正しい医療情報を提供している。さすがハリウッドのあるカリフォルニアである。
「ラヴソング」も正しい医療情報と共に面白いドラマにして欲しいと願う。






高橋秀樹さんというのはとても重要な指摘をしています。本来、医療従事者が患者との恋愛というのは御法度なわけです。その状態になってしまうのは双方に不利益を生むのです。今回の吃音障害ドラマラヴソングはどのようになるのでしょうか?月9伝統の恋愛ドラマにしてしまうのか?それとも現実を重視したドラマになるのか?これはとても重要なところです。



また、高橋秀樹さんが記事中で臨床心理士や言語聴覚士は医師ではないので診断も投薬も出来ない、基本的には医師の指示のもとにそれを助けるのが彼らの業務なのである。と指摘している部分があります。これはブログ主が毎回毎回指摘しているように、吃音業界の悪い例を高橋秀樹さんがご存知なんだろうと思います。吃音業界というのは医師や歯科医師の指示に従わない、言語聴覚士や臨床心理士、民間資格の簡単に名乗れる臨床心理士のような人、などが勝手に自由診療で吃音を治しますなどといい、クリニックを営業している場合があります。とはいえ、そもそも発達障害者支援法に定義されている吃音障害なのに、同法19条が国や都道府県によって明確な動きがないことも問題だと思います。そもそも都道府県に最低1つは吃音障害を診療できる病院が存在しないといけないはずです。発達障害者支援法は2005年施行です。


(専門的な医療機関の確保等)
第十九条  都道府県は、専門的に発達障害の診断及び発達支援を行うことができると認める病院又は診療所を確保しなければならない。
2  国及び地方公共団体は、前項の医療機関の相互協力を推進するとともに、同項の医療機関に対し、発達障害者の発達支援等に関する情報の提供その他必要な援助を行うものとする。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H16/H16HO167.html

吃音障害はちゃんと保険診療ができます。病院で診療できます。
高額な入会金や月謝などは必要ありません。ちゃんとした医師、その医師から指示を受けた言語聴覚士や臨床心理士がいる病院にいくことをおすすめします。


2016年4月22日金曜日

ラヴソングの次は 映画『校庭に東風吹いて』、遠藤久美子さんは緘黙児の母役

2016年4月22日現在フジテレビの月9ドラマではラヴソングが放送されていますね。
こちらは吃音障害が1つのテーマになっています。

今回紹介するのは、吃音障害と似ている、場面緘黙症の映画についてです。
場面緘黙は言葉を発話できるときとできないときがある症状です。
・学校ではしゃべらないのに、自宅では何事もなく話している。(その逆も)
ICD10では発達障害者枠に分類されています。
DSM5では症状に分類されています。




詳細はコチラ
http://smjournal.blog44.fc2.com/blog-entry-1025.html


場面緘黙症の少女が主要人物の一人として登場するとみられる映画『校庭に東風吹いて』の撮影が、20日(水)終了しました。

撮影は4月1日に大阪府内で始まり、京都府南山城村の撮影で締めたようです。ネット上では、主演の沢口靖子さんの目撃情報が、大阪府内の小学校(跡?)や、交野市のスーパービッグサン、同市の天の川緑地公園などでありました。

その撮影風景については、今回の映画を制作する「映画24区」代表の三谷一夫氏の Twitter などに掲載されています。



2016年4月19日火曜日

【解説】ラヴソング第ニ話を吃音当事者が解説

第一話の解説はコチラ
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/04/blog-post_14.html


ラヴソング #2「7秒の勇気で世界が変わる」

1.冒頭の病院で神代が老女と話すシーン
これはかなり時間を割いていますね。
吃音に関係があるのか?
神代の過去の人間関係への暗示なのか?
どっちでしょうか?両方でしょうか?

別の人生があったのかもしれない…という―。

2.ライヴハウスSにて古い仲間達と飲んでいるシーン
ここでは笹が「原石がいないかな」とボヤキます。
それを聞いていた夏希が「さくらちゃん良いんじゃない」と声をかけます。

ライブハウスでの乱闘シーン。
エンドウさんの歌「この クソみてえな 世界を 俺たちが変えてやるぜ」

増村「そんな簡単に救えねーんだよ。今日も俺は救えなかった。俺だって救いてーよ」

この歌詞が意味する所。乱闘になるシーン。
これは吃音者業界の派閥抗争を暗示しているのかもしれません。
吃音者は2005年4月より発達障害者支援法に定義される障害になりました。
それ以前は重度の吃音者のみが身体障害者の音声言語咀嚼障害4級を取得できた数少ない事例もありました。

吃音は障害者だ。
吃音は障害者じゃない。
吃音で社会保障(障害者手帳取得)など利用することは恥である。
吃音があっても、上手く社会に溶け込んでいるから吃音が発達障害だと周知徹底してほしくない。
吃音があって困っている。不登校や引きこもりニートになっている。本当は勉強したかった、進学したかった、社会で働きたかった。でも頑張っても無理だった。障害者手帳など取得しちゃいけないの?

こんな派閥抗争があり、2013年に北海道で吃音看護師が自殺しています。
乱闘シーンと世界を俺たちが変えてやるぜの意味は吃音者業界を表現しているのかもしれません。

【必読】はじめて吃音を知った人へ。吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと。大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

吃音(きつおん・どもり)とは何か?どのような障害なのか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post_18.html

2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/2013.html


◆エンドウさん詳細
「GEEKS」のGt&Voその名もエンドウ.さんです。詳しくはGEEKSの公式サイトとかWikipediaを御覧下さい。高貴に動きまわるエンドウ.さんのありがたいお姿はこちらから。
https://twitter.com/endo_jp


3.空一の家にさくらが訪問しているシーン (ついでにギターも取り戻しつつ)
真美とさくらの喧嘩について空一がいろいろ突っ込むシーンです。
いつもなら喧嘩して解決していたのに、妊娠しているしなと空一が返答します。
そしてギターを取り戻します!!!

広島弁すごいです。

4.自動車整備工場で短時間休憩?のシーン
さくらの職場で休み時間と思われるチャイムが鳴ります。
仕事を一旦終えたさくらは、神代先生はいないかなぁ―と思いつつ医務室を訪ねます。
しかし、なぁーんだいないか…と思いきや背中側から神代が登場。びっくりしています。
神代は最近調子はどうですか?と優しく話しかけています。


5.屋上で煙草を吸うシーン
さくらが煙草を吸う理由が判明しましたね。
喫煙すると吃音が治るというのを信じていたようです。ただ、「喫煙で吃音が治る」というのは私は聞いたことがありません。煙草を吸うとリラックスできたり、落ち着くことによって、吃音になりにくくなるのではという話は聞いたことがあります。

私の場合は喫煙と関係ありませんが、卒業論文の発表はお酒を飲んで軽く酔った状態で発表した記憶があります。このようなことは吃音者ごとそれぞれあるかもしれませn。


6.仕事終わりの更衣室にて
同僚の女子職員が恋話などをしている。
さくらは、いつもの通り『とびっきりの笑顔で対応』している。
ロッカーの扉を閉めてとびっきりの笑顔で手を振りなら更衣室を出て行くところは、他の職員達が見ていようが見ていなかろうが、「挨拶はしたよ」って意味なのかもしれない。このようなところは吃音当時者目線だとあるあるネタすぎて辛い。
本当なら「お先に失礼しまーす」なんて言いたいところである。

さて、更衣室内では女子トークに花が咲いており、帰宅しようとしたさくらがその足を止める。
本当なら「私もその話に混ざりたい」のが本音だろう。吃音当事者も例えば、学校や職場で「ねーねー、昨日のドラマさ、ラヴソングさ見た?」、「見た見た!」なんて会話があれば本当は参加したいでしょうなと思ったところである。吃音者はドラマも見ていて、ストーリーも全部理解していたとしても、吃音で吃るから、会話に参加しない。または見忘れたフリをして相槌をうつだけの場合もある。

それでも、この職場の職員さん一同は、さくらのことを「モグ」と読んで受け入れているので、環境としては良いのかもしれない。滝川工場長は別です。

7.真美が結婚するため荷物処分をするシーン さくらからメッセージが送られてくる
さくら「結婚準備は順調?」
さくら「今夜、ちょっとデートっぽいやつ行ってくる!」

このデートっぽいやつというテキストを読んだときの真美の表情がちょっと心配です。
結婚準備は順調?のときの嬉しさの表情と大きく異なります。

真美のさくらとの長い人間関係があります。
おそらく、この手の、さくらがウキウキしたり、異性に惹かれる場合。
さくらが痛い目にあうことが多かったのかもしれません。
その後始末は真美がしていたのかもしれません。
それが影響して真美は不穏な表情になったのかもしれません。
真美はさくらと親友でありながら、お姉さんでもあります。
もしかしたら「依存関係」になっている可能性も?

さくらは仮定の話ですが、とても優しくしてくれるとわかった人には懐いてしまう人なのかもしれません。それを真美は知っているのかもしれません。


8.電車内のシーン
電車内のシーンは、神代が押し出されてさくらに接触しそうになりますが。
そこは神代ということでさくらに影響しないようにドアに手をついて、他人からの体重をうまくさばきます。それを見ているさくらは鼻の下が見事に伸びています。

その後、さくらが空腹でお腹の音が鳴ってしまいますが。それも神代は「今のは僕でーす」と的確に処理をしていきます。この神代のとった行動にさくらは大きく心境が変化しているかもしれません。

9.立ち食いそば屋のシーン
吃音者が人生で必ず体験するシーンです。
この場面も吃音者の苦しみが再現されていますね。
「私も同じの」というのはとてもよくある困り事です。
本当は食べたいものがありました。
吃音者はこのようなことはよくあります。
わざわざ食券制の飲食店を選ぶ場合もあります。
インターネットで注文できること、予約できることがあればそっちを利用する場合もあります。
食事以外にも自分が購入する商品や自動車、働く会社も、発話しやすいかどうか?で選択する場合もあります。

背景で他のお客さんが「ごちそうさん」と言って退店するときも、実は吃音当事者は羨ましいなと思います。

お蕎麦を食べながら神代は、さくらを褒めますね。
世界が変わるかもしれない―。と。

吃音当事者の経験ですが日本社会では「7秒すら吃ることを許さない」という人や企業団体もあります。『お前の、その、こここここここここここって言っている時間もったいないんだけど。毎日毎日それで、一年間でどれだけ時間がムダになっていると思っているの!!』と怒る人もいます。もっと寛容な社会になってほしいと思います。

10.夏希のクリニックにて
さくらの言いたい言葉を夏希が紙にメモさせますね。
そしてそれを歌に歌います。

しかし、吃音者的に要チェックポイントは「CALMSモデルの図」です。
背景のホワイトボードに「吃音者の悩みの多因子モデル」と書かれているものです。

https://www.google.co.jp/search?q=CALMS%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB%E3%81%AE%E5%9B%B3&source=lnms&tbm=isch&sa=X&ved=0ahUKEwjn4cvklpjMAhWBK6YKHWMpCt8Q_AUIBygB&biw=1366&bih=667


11.夏希と神代の演奏で歌うシーン
親友の結婚式でスピーチをしたい。
人前に立つことに慣れるためにバンドとして歌ってみたらどう?と提案してきます。
神代も巻き込んでいく夏希ですが。いったいどうなるでしょうか。

12.バスから降りて、衝動的にギターを教えてほしいと体当たりまでしてしまうシーン
このシーンを見て思ったのですが。
さくらは吃音以外の発達障害があるのではないかと思います。
とくにこの衝動性の部分がそのように見えてしまいました。
さくらは吃音の他にADHDも持っているのかもしれないと感じました。
さくらは今すぐ!!神代先生に話しかけないと!!今じゃないとダメ!!という思考をしたのです。

逆パターンなのですが、ADHDの人に吃音がある人もいますよね。
吃音が発達障害者支援法に定義されているのは、自閉症スペクトラムやADHDやLDやチックなどと併発症している場合があることが報告されているのも1つの要因なのかもしれません。

結局、神代はさくらのお願いを断ります。
さくらも、「結局、神代はこんな奴か!!」と裏切られた気分になっているかもしれません。

13.自動車整備工場のシーン
空一からのメッセージにイラつくさくら。
神代から見放されたと思ったのかもしれません。


14.自宅に帰ったとさくら ストリートファイター4をプレイしている真美
2人はストリートファイターをプレイしながら、最近の色々な出来事を話し合っています。
なんだかんだで真美とさくらはこうやっていつもお互いのことを理解しあっているのかもしれません。
ちなみに、さくらが使用しているキャラクターは春日野さくら(カスガノサクラ)です。


15.真美が倒れるシーン 救急車を呼ぶことができないさくら
緊急電話を、緊急通報をすることができない吃音者の苦しみをこのシーンでは描いています。
このシーンについては吃音者によって変化するかもしれません。
とても興奮状態にある吃音者は、例えば怒っているときなど、吃音者は逆にスラスラと懸河の弁で対応する人もいます。さくらの場合はそうではなく、緊急通報のときも、ひどく吃ってしまう設定のようです。

さて、この緊急通報ですが、吃音者からするととても困るものです。たとえば目の前で交通事故が起こっても通報しないかもしれません。貴重な目撃者だったとしても、吃ることが嫌なので名乗りでない可能性もあります。緊急通報以外にも、警察官に職務質問をされた際に吃ってしまうことが原因となり警察官からとても不審に思われ違法薬物を使用しているのではないか?と疑われる事例もあるようです。


16.7秒の勇気はインチキだと病院の待合室で神代に話すシーン
私は何の役にもたてないと悩みを神代に打ち明ける。
いままでのシーンで前向きになっていくさくらが描かれていました。
が、真美のために救急車を呼べずに神代に助けてもらったところで、またさくらの心に大きな吃音という問題がのしかかります。

17.ギターを持ったさくらが、ギターを弾きながら叫ぶシーン
エンドウさんのライブと重なりながら、さくらの叫び声が交互に映し出されます。
さくらの自分自身に怒っているシーンだと思います。
吃音のせいで、大きな失敗をしてしまった。吃音のせいでどうしようもない状況になってしまった。
そのどうしようもない感情を爆発させているのだと思いました。

18.自動車整備工場で神代がさうらに話かけるシーン
神代は臨床心理士的な視点から、自動車整備をしている車体の下から見える、人間の足、靴をみてどんな人なのか?と説明をはじめます。革靴は滝川工場長で、便所サンダルはおしゃれな女の子だったということです。

この会話から、さくらの靴は「すごく頑丈そう。強くて丈夫で実はボロボロ、それでも傷ついても傷ついても、生きていく強さを持っている」というようにさくらに話しかけます。やはり臨床心理士だけあって会話の広げ方が上手です。あまり掘り下げずに。神代は「じゃあ俺のは?」とさくらに質問します。

この後、さくらは神代の靴をみて、神代への評価というか悪口を話し始めます。
いつもより吃っていません。実はこれも吃音者あるあるです。
全ての吃音者が当てはまるわけではありませんが、吃音者は怒っているときや、悪口をいう時はいつもより滑らかに発話ができる人がいます。


もう一度 7秒の勇気を信じてみないか?
ここまで上手くコミュニケーションをできて、さくらをやる気にさせる神代はすごいと思います。


19.次回予告で転移の話??
次回予告で、精神医療業界でよく話題になる、医師など専門職と患者が恋愛関係になってしまう話が少しでていますね。

日テレで過去に放送されたドクター倫太郎でも恋愛と転移の話が出ています。
こんな記事がありました。
<「Dr.倫太郎」は治療倫理より愛が勝つ?>堺雅人・精神分析家は蒼井優・患者との一線を越えるか
高橋秀樹[放送作家/日本放送作家協会・常務理事/社会臨床学会会員]
http://news.mynavi.jp/news/2015/06/12/193/





吃音当事者がハフィントンポスト社会面でラヴソングを紹介

2016年4月19日
投稿日: 2016年04月18日 08時46分 JST 更新: 2016年04月18日 08時46分 JST

ライター&エディターの小口貴宏氏がフジテレビ月9ドラマ「ラヴソング」の記事をハフィントンポスト社会面に投稿した。内容は下記の通り。

著者も吃音当事者であり、ドラマの演技はとてもリアルであると評価している。
吃音がドラマとして取り上げられることによるメリットの一方で、吃音障害であることを上手く隠して社会で生活している人へのデメリットがあるのではないか?とも懸念を表明している。





◆投稿されたハフィントンポスト社会面の記事
http://www.huffingtonpost.jp/takahiro-koguchi/lovesong-stuttering_b_9698484.html


フジテレビ・月9で新ドラマ『ラヴソング』が始まった。第1話ではヒロイン役の藤原さくらが、世間ではあまり知られていない障がい「吃音」(きつおん)をリアルに演じていた。

吃音は、言葉をスムーズに話すことが出来ない障がいだ。話すときにつかえたり、言葉の最初の発声に詰まったりする。「あ行が言いにくい」「母音が苦手」など症状の種類や重さはさまざま。成人の1%に見られるというから、決して珍しい障害ではない。

『ラヴソング』の第1話では、電話ができない・お店で注文ができない・職場でコミュニケーションがうまくとれない・周囲に理解されないといった吃音の苦悩を、ヒロイン役の藤原さくらさんがリアルに演じていた。Twitterには「まるで自分みたい」「直視できない」など、自らの経験に重ねてドラマの感想を述べているツイートも見かけた。実は筆者にも吃音があるのだが、過去の辛い記憶を何度も思い出した。それほど彼女の演技はリアルだった。

なお『ラヴソング』の製作には、吃音がありながらも医師として活躍する「吃音ドクター」をはじめ、吃音の自助グループ全国言友会(げんゆうかい)連絡協議会が監修している。吃音の少女を演じる藤原さくらさんも自助グループを訪れているといい、吃音への深い理解がリアルな演技に繋がっているのだろう。

社会に認知されることへの不安も

吃音を扱った映像作品としては、2010年公開の『英国王のスピーチ』がある。2011年にはアカデミー賞を受賞するなど、吃音の認知度向上に一定の役割を果たした。しかし作中で吃音に悩むジョージ6世は「英国王」という肩書きで、どこか遠くの話に感じられたのは否めない。

一方『ラヴソング』では、庶民の吃音をもつ少女が、現実で直面する苦悩が赤裸々に描かれている。遠い世界の話ではないという意味で感情移入しやすく、社会の側からも現実に起きている問題として捉えやすい。しかもフジの月9枠での放送ということもあり、当事者の間では、『ラヴソング』をきっかけに吃音への認知や理解が広がることに期待する声は大きい。

ところが、当事者にはドラマ化に否定的な意見もみられた。社会に認知されることが、新たな差別を生みかねないという不安だ。吃音は見えない障害とも言われている。認知の低さを逆手に取り、症状を努力や工夫でごまかしながら「普通の人」として社会に溶け込んでいる例も多い。吃音が障がいとして広く認知されることで、例えば仕事では成果を出しているのに、吃音を見ぬかれて職業上差別されるのではないかという恐れもあるようだ。

そうした懸念は企業などの社会の側が取り除かねばならない。2016年4月に「障害者差別解消法」が施行された。企業に障がいを理由にした不当な差別の禁止と、障がい者への合理的配慮を求める法律だ。100人に1人の割合で存在する吃音を持つ人にどのような合理的配慮が行えるか、しっかりと考えていく必要があるだろう。月9『ラヴソング』は、吃音がある人とそれを取り巻く社会の双方に大きな変化を与えそうだ。

2016年4月14日木曜日

【解説】ラヴソング第一話を吃音当事者が解説

読了時間目安 30分

2016年4月11日21時放送開始のラヴソングを吃音当事者が当事者視点で解説します。
と、解説に入る前に必ず読んでほしいものがあります。


【必読】はじめて吃音を知った人へ。吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと。大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

吃音(きつおん・どもり)とは何か?どのような障害なのか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post_18.html

2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/2013.html


◆ラヴソング第一話解説
1.番組開始直後、ビッグモービル社の屋外にて、朝礼、社内用語の声出しが行われる。
吃音当事者であれば、この段階で、「うわぁ」となる。
官民企業団体によっては異なるが、声出し役として、全員の前で声出しをするとか、小学校や中学校の日直・当番が号令をかけるときなど、吃音者にとっては生き地獄である。
今回、ドラマでは『一斉に皆と合わせての声出しなので上手く発話できる』または『口パク』でやり過ごしているのかもしれない。吃音者は一斉読みのときは吃らないことが多いのである。

2.声出しのあと、木下ほうか氏が演じる上司が、さくらに新人を紹介するシーン
このシーンを見て、非吃音者(健常者)はすでにとても違和感を感じるかもしれない。
上司が話しかけていて、新人さんを紹介して、お互いに自己紹介をするようにお膳立てをしているところである。さくらが『ニコッ』っと笑顔で頭を下げるシーンは吃音者あるあるネタである。吃音者の処世術と言っても過言ではない。

3.女子職員同士のお昼ごはんシーン
さくらからは会話に入ってこない。
無言で頷くとか、笑顔で頷くとか。これも吃音者のあるあるネタである。
だけど、本当は会話に参加したい。さくらの心の中では会話にツッコミを入れていることや参加しているかもしれない。笑顔で煙草を取り出すシーンも、煙草を吸いに行くという口実で、その場から退席する手段かもしれない。


・余談1 さくらの煙草を吸う設定について
さくらが煙草を吸うのは、吃音者にありがちな「●●依存」かもしれません。
または煙草を吸っていると、落ち着くだとか。「煙草を吸いに行くという」理由付けに利用できると考えているかもしれません。

仮に依存症として。例えば、吃音者に限らず、色々な障害がある人、社会的障壁がある人などは、何かに依存している場合があります。あくまで一部の人の例として、買い物依存、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、性行為依存、恋愛依存、コーヒー依存、煙草依存、摂食障害、などあります。

さくらが煙草を吸うのは依存なのか?
吃音者処世術の1つなのか?
ただ、単に煙草を楽しんでいるのか?
これはわかりません。


4.昼休みの屋上シーン 新人歓迎会の話
女性同僚達が、新人歓迎会を開こう。
このドラマでは基本的に同じ部署の先輩が新人歓迎会の幹事をやるのが慣例のようです。
さくらは声も発することなく、引き受けた形になっています。
いいえ。本当は口が少しパクパクしています。
『えっ?私は幹事は向いていないと思います』と言いたかったのかもしれません。

内心、とても不安でしょう。
どうやって予約しよう。
いやそれよりも、『吃らないで発話できる、名前の店舗から検索するかもしれません』
このようなことは吃音者ではよくある話です。
言いやすい学校名や社名のところに入学したい入社したい。
言いやすい名前の自動車を買う。
2016年現在こそ鉄道はスイカなどのICカードをタッチして乗降車できます。
しかしICカードが普及する以前は、行き先の切符を口頭で発話して窓口で購入しなければいけない時代がありました。吃音者は自分の目的地の駅名を吃って言えない場合、その次の駅、その次の次の駅名を、言えるような駅名を余分なお金を支払ってまで購入していた例もありました。

それと、優香という同じ職場の女性はなんとなく、さくらが話すことが苦手な人だと気付いているように設定されているのでしょうか?

・余談2 耳鼻咽喉科医師の設定??
神代が馴染みのライブハウスを訪問します。
ここで笹との会話の中で「増村」という耳鼻科医師が出てきます。
もしかすると、吃音ドクターこと、九州大学病院の菊池良和医師を下敷きにしているのかもしれませんね。

5.さくらが自宅に帰宅したシーン
真美とさくらが生活しているマンションのシーンです。
ラヴソングを見ている非吃音者(健常者)の方々はここでとても驚いたと思います。
さくらのしゃべり方です。
そうです。これが、「さくら」の「吃音」です。
そうです。これが「吃音」ですとは言えません。
吃音は本当に人それぞれで十人十色であり一人ひとり異なるのです。

真美はさくらとの付き合いがとても長い親友という設定です。
さくらは、新人歓迎会の電話をしなければいけないことを、なんとなく真美に伝えます。
電話予約をしてくれないかな?って内心強く思っているのです。

吃音者の中には、自分は吃ってしまうから、他人よりも他のことをして気遣い心遣いをして、相手の役に立って、その見返りとして、吃音を多めに見てもらおうという処世術を身に着けている方々もいます。今回は真美とさくらの関係が親友ですが、これが社会人となって職場の人間関係になると、結構シビアです。社会人になった吃音者は上手く相手に取り入ったり、一生懸命に仕事してアピールします。そしていざ、発話する場合などは相手にやってもらうという形です。


この真美とさくらのシーンですが。
真美がさくらが吃っていようが、普通に接していますよね。
これが、吃音者に対する究極の合理的配慮だと私は見ていて感じました。

2016年4月1日から障害者差別解消法が施行されました。官公庁なら義務、民間なら義務ではないが努力です。吃音は発達障害者支援法にも定義されている発達障害(手帳は精神障害者保健福祉手帳扱い)です。吃音者への合理的配慮、「吃音を笑わない」、「吃音を怒らない」、「吃音を理由にして排除しない」この3つが大切だと思います。車いすを利用している人に『頑張れ!!頑張って訓練して努力して、健常者のように歩けるようになるんだ!!』ではなくて、『車いすでも、何処へでも移動できるように障壁を無くすね!!まだ追いついていないところは私たちがカバーするから!!』という例があります。
吃音の場合は『吃音者に向かって、健常者のように普通に話せ!訓練しろ。努力しろ。普通になれ!じゃないと仕事にならんぞ!!』なんて言ってはいけないのです。吃音者は、ただ話せないのです。上手く発話できないのです。でも、それってそんなに重要なことではないと思います。もっと社会が寛容になればいいと思います。いらっしゃいませが言えないお店の店員が存在してもいいじゃないですか。

6.整備工場でさくらが働くシーン(神代が夏希の家に行ったあとのシーン)
さくらが寝板(メカニッククリーパー)に寝転んで自動車整備のオイル交換を行っていますね。
と、その時、新人の高橋に危険が迫ります。落し物を拾う直後に背後から吊るされたエンジンが接近しているのです。それを発見したさくらは高橋に寝板ごと体当たりして、エンジン直撃コースから高橋を救います。高橋は、『危ない!』と声出せばよかったのに…と投げかけます。それを見ていた滝川工場長は「声がけしたのか?」とさくらを注意します。(工場長に何か怒られると思ったさくらは、素早く寝板ごと整備車両の下に逃げ込もうとしましたが阻止されましたね。吃音者はこのような自身に振りかかる悪いことの空気を感じ取るのも得意です。)

特に滝川工場長の言葉は吃音当事者にとって辛いもの苦痛なものです。

『おい。佐野。お前ちゃんと声がけしたのか?何度も声がけが大事だっていったよな?コミュニケーションが苦手ですじゃ済まないんだよ。いい加減克服してくれよ』

『返事は??』

これが吃音当事者から見るととてもショックな内容でした。


でも滝川工場長も悪意でやっているわけではありません。
吃音というものを知らないのだと思います。
それに、さくら側も吃音のことをカミングアウトしていないのだと思います。

このシーンは吃音当事者からすれば、本当によくわかります。
吃音があって、どうしても、どうしても、今すぐ伝えなければいけない。
でも言葉が出ない。発話できない。
じゃあどうする?
と考え抜いた末のさくらの決断です。
それが寝板ごとの体当たりだったのです…。


7.いよいよ、さくらと神代臨床心理士が対面します
新宿総合病院 メンタルヘルス科の臨床心理士 神代 広平と名刺には書かれていました。
東京都新宿区若松20-5-9という架空の住所ですが、国立国際医療研究センター病院(国立研究開発法人)かもしれません。

ついに神代とさくらの対面です。
神代が一方的に話しかけます。
常にずっとずっと話しています。
さくらは、この時、心の中でどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようとパニックモードになっているはずです。
何とか話そうと、口をパクパクさせ、咳払いをして、話そうとします。

吃音当事者からすると。すでにこの時に吃音者は全て頭の中に『しゃべりたいこと、話したいこと全部』が考えられており、ただ、発話ができない状態に陥っています。

さくらが「だ、だ、だ、だ、だ、大丈夫です」と顔の表情を歪ませながら、握り拳で足を叩きながら発話しようとしていますね。これは『随伴運動・随伴症状』と言われるものです。吃音者は発話しようとすると身体のどこかが動くことや、顔の表情が歪むこともあります。さらに発話しようとするために、唾液を飛ばしてしまうこともあります。

さくらは「大丈夫」を言ったあとに、涙を流しています。
それだけ、さくらは感情が昂ぶっていたようです。

さくらが部屋から退出するときのドアを引くネタが印象に残りました(笑)

神代の部屋から出てきた、さくらに対して滝川工場長はこのように言い放ちます。
『おい。治らなかったら首だかんな。首だ…』
と伝えます。これは実際に吃音者にある話です。

毎日新聞社記事 シリーズ となりの障害 吃音の回です。
Googleクロームのシークレットモードにて閲覧してください
http://mainichi.jp/articles/20160319/ddm/013/040/014000c


さくらは野村のコネで会社に入社できたパターンの吃音者のようです。
しかし、2016年現在の吃音者はそう簡単に就職活動は上手くいきません。
1にコミュニケーション能力 2にコミュニケーション能力と言われる日本社会だと、余程の高学歴な吃音者や、特定のスキルや専門資格、国家資格を持っている吃音者でなければ就職はできません。自営業やフリーランスとして働く吃音者もいます。夢破れた吃音者は不本意非正規雇用などに落ちぶれていきます。精神的ダメージが大きい吃音者はひきこもりやニートになってしまうかもしれません。もしかしたら、世の中のひきこもりの中には吃音者がいるかもしれませんね。


8.さくらが自宅に帰宅 すると真美が結婚??
さくら 真美 空一 野村の4名で食事会。
なんと真美と野村が結婚するという。
真美はさくらに結婚式のスピーチを依頼する…。

野村は「スピーチはさくらちゃんに頼もうと。こないだね…」
凍りつく一同。
凍りつくさくら。
真美、空一の二名はさくらが、話すことが大変だと理解しているようだ。(吃音という言葉まで認識しているかは不明)

さくらは真美から真剣に結婚式のスピーチを依頼されるが、さくらはビールを買いに行くということでその場から去ってしまう。

さくらの気持ちとしては、私が言葉を話すことがダメなのに。なんで大勢の前で喋らせようとするんだろう。馬鹿みたい。2人の結婚式台無しになるかもしれないのに。何言ってんだろ。という感じと、もう一つ言い表しがたい感情があったように思える。

9.神代と夏希が吃音について話し合うシーン
吃音の女性がいることを神代が夏希に相談する。
吃音の説明セリフ満載の、解説のためのシナリオだろうと感じた。
吃音の説明や、吃音者が抱える悩み、言いたいことが言えないとか会話に参加できないとか。
夏希がとても丁寧に視聴者に説明してくれる。
吃音は大人になってからだと治すことは難しい。訓練、リハビリで軽減することはあるけどそれ以上はないということである。ならば逆に吃音を受け入れてみるのはどうだろうかというわけある。

10.さくら、真美、空一の過去回想シーンである
さくらは小学生の段階で吃音が発生しているので、発達性吃音であることがわかる。
発達性吃音の場合は成人するころには完全に消失する人もいる一方でさくらのように消失せず治らない人もいる。この場合、「吃音が治ってしまった人」が「吃音が治らない人」に対して
吃音を治す方法を私が教えてあげようだとか、吃音を治す努力をしないのは甘えだ怠惰だと説教をする場合もあるので要注意である。吃音は治る人もいるし、治らない人もいる。だがしかし、その原因やメカニズムが解明されていないので、治る人とそうでない人の違いは何かわからないのである。

この過去シーンも吃音当事者にとっては直視できないものではないかと思う。
BGMも更に涙を誘う。
上手く話せない、発話できないというのは、子どもにとってはとても楽しいエンターテイメントである、子どもとしては悪意はないにしても、やはり自分たちと違う人間を識別して危害を加えるのはよくあることである。もっとちゃんと吃音のことを説明していれば。ああなるほどと思ってくれると願いたい。

さくらの過去のように幼少期から、吃音が原因で自己肯定感・自己効力感が低下し始めると、外在化障害や内在化障害、二次障害や●●依存が出てくる場合もあるので注意が必要である。特に吃音に限らず、障害や障壁がある子どもの教育環境はとても大切であることは間違いない。当事者の思考パターンや性格人格形成に大きな影響を与えるからである。マイナスな環境にいれば不登校になったり、進学したかったが高校も大学もいかなかった。故に人生の選択肢が極端に少ない。イジメをしていた連中は大学まで行って新卒で就職して結婚して子どもができてマイホームを買って、豊かな人生を送るということである。ラヴソングというドラマではさくら1人の吃音者が登場するのか?今後、複数の吃音者が登場するのかはわからない。おそらく吃音者の先輩的なロールモデル役は登場するだろうと思う。発達性吃音は小学校で6%程度発症して、成人しても吃音が継続する者が1%であるから、意外と存在するものである。


過去回想シーンから離脱して、随分遠いところまでお酒を買いに行って帰宅したさくらと真美の会話。このシーンを見ているとさくらと真美の信頼関係はとても強い絆であると思える。真美も真美で児童養護施設出身ということを悩んでいるのである。さくらは本当は心のなかで色々と真美に話しかけたい声をかけたいことが巡っているかもしれない。吃音者はこのような重要なときも発話出来ない場合がある。

結果としてスピーチはしなくていいからねと言われてしまう。



もしもフジテレビが間に合うのであれば、副音声で、さくらの心の声を放送すべきではないか?
とも思う。発話したい本当に心で思っていることを副音声で解説してくれれば吃音者の苦しみが非吃音者(健常者)にも伝わるのではないかと

11.さくらの本心 吃音を治したいと神代のところに訪ねるシーン
さくらは結婚式のスピーチを本当はしたかったのかもしれない。
吃音を治したいと神代に伝える。
吃音当事者は涙なしでは直視できないだろう…。
神代は、僕は臨床心理士だから言語聴覚士を紹介する。
「いいんじゃないですかね?キミはキミのままで。吃音があっても上手く付き合っていけばいいじゃない」と言ってしまう。
これは対応を間違えている。
吃音を治したいと希望を伝えてきた患者には、そのメニューをできる限り実行するべきである。そして患者が気づき始めたときにまた別のメニューを示すべきではないかと思うのである。一丁目一番地から「吃音を受け入れろ」と言われても吃音当事者は逆に辛い経験になるだろう。さくらも「もういいです」と部屋を出ていってしまった。

12.さくらが一生懸命同僚職員に新歓の場所を相談するシーン
おそらく、真美の結婚式スピーチを頑張ろうと思ったさくらが、まずは手始めに新人歓迎会の場所を自分で連絡してみよう!というスイッチが入ったところを描いているシーンである。職場の休憩室で神代と顔を合わせるがさくらは、会話に発展するのを避けるためさっさと出ていってしまう。これも吃音者によくあることである。一度この人は信頼ならないと思えばこうなってしまう場合もある。

新人歓迎会の店名が「さしすせそ」なのは。
吃音当事者で「さ行」の発話が苦手が人が多い???というのを暗示しているのかな?とも思う。

空一はなんだかんだいって、さくらの電話練習に付き合う、結婚式のスピーチも無理してやらなくていいと言う。しかし長年のさくらとの友情関係でコレは本気のさくらだと直感した空一は練習を継続しようと言う。本当に良き理解者である。

13.さくらが実際に電話を「さしすせそ」にするシーン
ドラマ視聴者はまた、驚くだろう。
なぜ、電話ごときにここまで話せないのだろう。
空一と練習だってしたんじゃないの?
さくらは上手く電話ができずに相手に電話を切られてしまう。
これも吃音当事者にはあるあるネタすぎて、号泣シーンだと思う。


そうなのです。それが正常な感情です。
誰もが思うことです。
でも吃音を知ってください。
これが吃音なのです。吃音とはこんなにも辛く大変なのです。
もしかするとインターネット、ホットペッパーで予約すればいいじゃない?と思うかもしれないけど、吃音者だって吃音から逃げ続けることよりも挑戦したいと思うのです。そんな感情を上手くドラマは表現できていると思います。


結局、さくらは、直接お店を訪問して予約をすることにした。
さくらは「喋ることを伝えることを全てメモにしている」、これも吃音当事者処世術の1つである。

たまたま客席にいた神代はそれを目撃するわけである。ここらへんで、さくらが本気だと考えなおすのかもしれない。


夏希の家に帰宅し、ソファーで横になる神代。
眠っている神代の右手には【吃音の基礎と臨床―統合的アプローチ: バリー ギター  長澤泰子訳】が…。

この書籍は実在する書籍で日本国内では吃音に接する人間が必ず読破しなければいけない書籍である。学苑社が出版している。ちなみに長澤泰子先生とは日本でとても有名な吃音研究者である。国立特別支援教育総合研究所の平成26年「辻村賞」を受賞しているプロフェッショナルである。


14.500マイルの鼻歌を歌い 屋上で喫煙するさくら そして神代
鼻歌を偶然聞いてしまう神代。
神代の中から過去の記憶が蘇るシーンでもある。
そのまま鼻歌を聞き続ける神代。
このドラマの歌を通して心を通わせるテーマの伏線である。

15.新歓の予約とれたよと女子職員に報告するが キャンセルされたのであるの巻
さくらはやっとできた新人歓迎会の予約を報告するが。
別に良い店があるとのことで、そっちに流れてしまう。
ここでも、優香が率先して「じゃあもくが予約した店私がキャンセルするね」と電話をかけてくれる。
優香という人はなんだかんで、さくらの、それに気付いているのかもしれない。
でも、そこはスマートに対応してくれるようだ。

16.外出していた神代がさくらをゲームセンターで発見
さくらは、この時点で、すでに神代を「どうでもいい人リスト」に分類しているので。
とても冷たく接する。
もう、話しかけてほしくないオーラ全開である。
吃音者のとの信頼関係はとても壊れやすいものであるとの説明シーンかもしれない。


17.滝川工場長がさくらはクビだと神代に伝えるところ
滝川工場長のようなことを考える人はよくいるものだと思う。
吃音を治さないと社会人失格だと思っているのである。
これはもはや『認知の歪み』ではないかと感じる。
なぜここまで、上手く発話できないことにこだわるのか???

これは実際の日本社会で起きていることなのでドラマとして演出したのだろうと思う。
吃音が原因で会社をクビにされる、または、辞めるように仕向けられることはよくあることなのである。

18.無断欠勤したさくらを怒る真美
会社を無断欠勤したさくら。自宅で格ゲーをしている。
ここでさくらはさくらで感情を爆発させる。
真美に結婚してほしくないこと。
真美まで上から目線で接している、応援されているという自分自身が嫌だという―。

そのまま自宅を飛び出したさくらは踏切へ向かう。
たまたま神代がその場に駆けつけてきて最悪の事態は避けられる。

19.宍戸スピーチクリニックにて、ついにさくらの歌声が―。
ここは第一話の重要なシーンなのでネタバレはやめようかなと思います。




・余談3 言語聴覚士や臨床心理士は「医師の指示が無いと自由診療」
吃音者を取り巻く環境には。
コンプレックス商法がある。
体質とか体重とか外見とか見た目とかニオイとか。
世の中には様々なコンプレックス商法がある。

さて、吃音もその例に漏れずコンプレックス商法がある。
インターネット上にはびこる、「これで吃音が治った ●●訓練法」というものである。
Twitterやインターネットでも『これは吃音者の実体験ブログかなと読み進めると●●法で吃音治った』という情報商材がとても多く氾濫している。

はっきり言うと。
吃音が治るなら、治る方法があるなら、医学会に論文を発表すべきである。
ノーベル生理学・医学賞は間違いない。
これで地球上の吃音者は救われる。
なぜコンプレックス商法で金儲けをするのだろうか???

さて脱線した。
実は吃音は「保険診療」ができる。
しかし、医師法と言語聴覚士法に従わない言語聴覚士が存在するのも事実であり。
自由診療でお高い治療費を藁をもつかむ思いの吃音当事者へ請求する場合もある。
保険診療ができるのに、なぜ、医師がいるところで活動しないのか疑問である。
このドラマでは、医師の指示が無いように見えるが……。
もちろん、医師の指示を受けずに今の日本では言語聴覚士や臨床心理士が単独で医療類似行為
として吃音を診療することは可能といえば可能である。厚生労働省によると『言語聴覚士や臨床心理士が診療診察をして病名をつけないこと。患者に触ってはいけない』ということになっている。これがあるのでグレ-ゾーンとして商売が成立するわけである。

だだし、どうせなら。ちゃんと医師免許をもった人間と連携して、保険診療ができる状態にしてスピーチクリニックなどを開業してほしいものである。自治体によって異なるが子どもの医療費が無料の所もある。治したいと思う吃音者からお金を巻き上げるのはやめてほしいのである。このラヴソングがきっかけとなり、医師が言語聴覚士と臨床心理士(公認心理士)が連携してほしいところである。

しかし問題もある。実は吃音は身体障害者と思われていた時期があるのだ。
2016年現在、吃音で困っている人間は『耳鼻咽喉科』にいけばいいのか?
発達障害であるから『精神科・児童精神科』にいけばいいのか?
ここらへんがはっきりしていない。厚生労働省による吃音診療ガイドラインが発表されていないため、どの病院にいけばいいのか不明なのである。

2005年から発達障害者支援法に定義されるようになったが、それも周知徹底がされておらず、2014年7月にそれが突然公になった形である。その名残もあり、重度の吃音者は身体障害者手帳を取得できる可能性がある。それ以外の軽度中度の吃音者は発達障害扱いで精神障害者保健福祉手帳を取得できる。
身体障害者の場合は明確な数値やルールを下回る場合でないと交付は認められない。
しかし発達障害は『たとえ1%でもその社会的障壁で本人が困っていれば、精神障害者保健福祉手帳申請書類を丁寧に医師に書いてもらえれば最低3級が交付される』

このドラマをみた非吃音者(健常者)の人は、どんなに軽度な吃音者でも、その人が困っている、1%でも配慮されている場合は精神障害者保健福祉手帳を申請できると覚えておいてほしい。現在、インターネット上では軽度の吃音者は障害者手帳を取得できません!などというデマが流れている。しかしどんなに軽度な吃音でも問題ない。

東京都であれば、このブロク主が東京都内の病院を紹介します。
そこなら障害者手帳申請書類を書いてくれます。
詳細はメールフォームよりお問い合わせください。



◆余談4 2018年から事実上の精神障害者保健福祉手帳(精神障害者・発達障害者)の雇用義務化開始

2018年から障害者雇用のルールが変化します。
法定雇用率の計算式が変化します。
今までの計算式「身体障害者と知的障害者」から
新しい計算式「身体障害者と知的障害者と精神障害者」という算定式になります。
義務化ではありませんが、事実上の雇用義務化と言えるでしょう。身体障害者、知的障害者の数と精神障害者の数は精神障害者のほうが多いのです。そして、精神障害者以外の人は就職転職の流動性が低い傾向にあるからです。

今後は、うつ病、統合失調症、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、トゥレット症候群、吃音などの当事者も計算することができるようになります。

もちろん、医療機関での診断、精神障害者保健福祉手帳所持者という条件はあります。
官民企業団体の総務、人事、障害者雇用担当の職員さんは覚えておいたほうがよいでしょう。


厚生労働省の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要
PDF版




◆言語聴覚士法を読んでみよう このように書かれている 医師の指示はありますか?
保険診療できていますか?
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO132.html

  第四章 業務等

(業務)
第四十二条  言語聴覚士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2  前項の規定は、第九条第一項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。

(連携等)
第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2  言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。










◆フジテレビのドラマ制作部門はラヴソング、第二話からでいいので、さくらの心の声を副音声で放送したほうがいいのではないか?
これは吃音者の本当の心の声を非吃音者(健常者)に知ってほしいからである。
そして、吃音があって、言いたいことが言えない辛さとはどんなものなのか?
これを少しでも知ってもらえたらと思うのである。


◆番組の紹介
ラヴソング【福山雅治が3年振りに月9に帰って来る!30分拡大SP】
ある孤独を抱えた女性の片思いから始まる成長物語。年上の企業カウンセラーと出会い、音楽を通じて心を通わせていく。互いの心が交錯するとき人生が変わり始める


◆【解説】ラヴソング第ニ話を吃音当事者が解説
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/04/blog-post_12.html

番組詳細 【番組ホームページ】 http://www.fujitv.co.jp/lovesong/

 神代広平(福山雅治)はプロのミュージシャンだったが、今は別の仕事をしている。独身で定住はせず、持ち前のルックスを活かして女性の家を転々とする生活。この日も、そろそろ潮時と感じた女性に別れを告げ、少ない荷物とギターケースを担いで出て行った。  佐野さくら(藤原さくら)は、大型車販売店の整備工場で働いている。愛想は悪くないのだが、同僚とうまくコミュニケーションがとれず、上司の滝川文雄(木下ほうか)に
いつも注意されていた。さくらへの注意を終えた滝川が、先生と呼んで挨拶したのが神代。神代は企業カウンセラーとしてこの会社に勤務していた。  仕事を終えた神代はライヴハウス『S』へ。家を失った神代はオーナーの笹裕司(宇崎竜童)に当面の宿を頼むが、断られてしまう。笹はまた宍戸夏希(水野美紀)に頼めば良いと神代に促す。夏希に頼むのは気がひける様子の神代はマンガ喫茶に一夜の宿を求めるが、どうにも居心地が
悪く、仕方なく、夏希の家に転がり込むことになった。  そんなある日、さくらは職場でミスをしてしまう。仕事仲間とのコミュニケーション不足を案じる滝川は、さくらを神代に診てもらうことに。神代はさくらに優しく対応する。  その後、さくらが児童養護施設時代からの姉代わり・中村真美(夏帆)と一緒に暮らす家に帰ると、同じく幼なじみの天野空一(菅田将暉)が来ていた。そこでさくらは、真美からあることを頼まれる。

【脚本】 倉光泰子  【音楽】 菅野祐悟  【プロデュース】 鈴木吉弘  草ヶ谷大輔  【演出】 西谷弘  平野眞  【制作】 フジテレビドラマ制作センター

■出演者
神代広平 … 福山雅治
佐野さくら … 藤原さくら
天野空一 … 菅田将暉
中村真美 … 夏帆
渡辺涼子 … 山口紗弥加
滝川文雄 … 木下ほうか
星田和夫 … 渋川清彦
野村健太 … 駿河太郎

増村泰造 … 田中哲司
湯浅志津子 … 由紀さおり

笹裕司 … 宇崎竜童
宍戸夏希 … 水野美紀

2016年4月5日火曜日

フジ月9 2016年4月11日放送開始ラヴソングは吃音がテーマ

フジテレビが2016年4月11日から放送する月9ドラマは吃音の女の子が主人公ではないか?
と観測が出ていましたが、どうやら確定のようです。
吃音者がヒロインで、福山雅治さんのドラマなんてどんな内容になるのでしょうか?
田中哲司さんが演じる増村泰造は耳鼻科の医師との設定でしたね。
吃音ドクターこと菊池良和医師が下敷きになっているのかもしれません。
吃音者が設定となるということは、毎回毎回ドラマの放送時間は延長されるでしょうか?
2016年4月1日から障害者差別解消法が施行されました。
合理的配慮として、吃音者がどもってしまっていても、多少の時間は待つことも大切だと思います。
ドラマも、毎回、規定の放送時間ではなく、どもる時間分を延長して放送してくれるとリアリティが増しますね。



フジテレビのラヴソングというドラマで吃音の情報が良い悪いに関係なく、一般社会に広がることを期待します。吃音が発達障害者支援法の定義されていることも紹介されるでしょうか?
吃音があって困っている人は障害者手帳も取得できますし、企業団体の人事労務採用担当の人は吃音者は障害者雇用の対象で法定雇用率に計算できると、必ず覚えてほしいと思います。

発達障害情報・支援センター
ホーム > 発達障害を理解する > 各障害の定義
http://www.rehab.go.jp/ddis/%E7%99%BA%E9%81%94%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%82%92%E7%90%86%E8%A7%A3%E3%81%99%E3%82%8B/%E5%90%84%E9%9A%9C%E5%AE%B3%E3%81%AE%E5%AE%9A%E7%BE%A9/

内閣府政府広報オンライン 発達障害ってなんだろう
http://www.gov-online.go.jp/featured/201104/contents/rikai.html


KADOKAWA CORPORATION 2016のグループ企業
中経出版の書籍紹介から
吃音ドクターが教える人と話すのが楽しくなる本



4月期フジテレビ系月9ドラマ「ラヴソング」
http://www.fujitv.co.jp/lovesong/ 

キャスト
神代広平 … 福山雅治
佐野さくら … 藤原さくら
天野空一 … 菅田将暉
中村真美 … 夏帆
渡辺涼子 … 山口紗弥加
滝川文雄 … 木下ほうか
星田和夫 … 渋川清彦
野村健太 … 駿河太郎

増村泰造 … 田中哲司
湯浅志津子 … 由紀さおり

笹裕司 … 宇崎竜童
宍戸夏希 … 水野美紀

スタッフ
脚本…倉光泰子
音楽…菅野祐悟
プロデュース…鈴木吉弘 草ヶ谷大輔
演出…西谷弘 平野眞
制作…フジテレビドラマ制作センター

2016年4月1日金曜日

吃音ラジオはじまります! 朝日新聞デジタルから

朝日新聞社の吃音の記事です。
吃音ラジオのことが報道されています。
2015年、2016年と吃音のことがニュースになることが多くなってきましたね。
こうやって世間に情報が伝わっていき、良い変化に繋がるといいですね。

全文を読むには会員登録が必要
http://www.asahi.com/special/kotoba/jinken/SDI201603272336.html


こちら人権情報局
「吃音ラジオ、はじまります!」
青山 絵美2016年4月1日

 同じ音を繰り返したり、言葉が出にくかったりすることで、思い通りに話せない吃音(きつおん)。多くの当事者は、会話への苦手意識を抱えています。そんななか、吃音について知ってもらおうと、あえて音声だけで表現する「ラジオ」を通して発信を続ける吃音当事者がいます。開始から1年を過ぎ、「人前で話すのが楽しくなった」と大きな変化もありました。

■当事者たちがあえて放送にチャレンジ


 「吃音ラジオ、はじまります!」
 明るい声で番組をスタートさせたのは、大学生の遠藤百合加さん(20)。小さい頃から吃音があります。

 「吃音」とは、話すときに、①「わ、わ、わたし」と繰り返したり(連発)②「わーたし」と引きのばしたり(伸発)③「…………わたし」と音が詰まって出てこなかったり(難発)することで、思い通りに話せないことをいいます。原因ははっきり分かっておらず、決定的な治療法もまだありません。3歳前後で症状が出ることが多く、7割程度は自然になくなっていきますが、大人になってからも症状に悩む人は多くいます。

 吃音者は100人に1人いると言われていますが、「その割に知られていない」と遠藤さんは感じています。吃音についてもっと知ってほしいという思いから、2014年、ツイッターを通じて集まった、会社員の広瀬功一さん(30)、音響エンジニアの青木瑞樹さん(30)とともに、吃音当事者によるインターネットラジオ番組「吃音ラジオ」を始めました。

 「自分がスムーズに話していないところを聞いてもらえれば、吃音について知ってもらえるんじゃないか。ラジオなら発信できるし、近くに住んでいない人でも参加できると思った」

 主に広瀬さんと遠藤さんが司会を、青木さんが編集・配信を行っています。第1回の放送は14年12月。収録は、インターネットの通信サービス・スカイプを使っておのおのの自宅などから参加する形で行われており、九州など遠方のゲストが加わることもあります。ゲストから体験談や悩みを聞いたり、リスナーからの相談に答えたりするほか、吃音に関するニュースの紹介も行っています。月1~2回の放送を続け、今年3月に第24回を迎えました。