2016年4月14日木曜日

【解説】ラヴソング第一話を吃音当事者が解説

読了時間目安 30分

2016年4月11日21時放送開始のラヴソングを吃音当事者が当事者視点で解説します。
と、解説に入る前に必ず読んでほしいものがあります。


【必読】はじめて吃音を知った人へ。吃音と関わる上で絶対に知っておくべきこと。大切な吃音ガイドライン
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post.html

吃音(きつおん・どもり)とは何か?どのような障害なのか?
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/blog-post_18.html

2013年、北海道で吃音看護師が自殺した。だが、本当は自殺を避けられたのである
http://kitsuonkenkyuguideline.blogspot.jp/2015/11/2013.html


◆ラヴソング第一話解説
1.番組開始直後、ビッグモービル社の屋外にて、朝礼、社内用語の声出しが行われる。
吃音当事者であれば、この段階で、「うわぁ」となる。
官民企業団体によっては異なるが、声出し役として、全員の前で声出しをするとか、小学校や中学校の日直・当番が号令をかけるときなど、吃音者にとっては生き地獄である。
今回、ドラマでは『一斉に皆と合わせての声出しなので上手く発話できる』または『口パク』でやり過ごしているのかもしれない。吃音者は一斉読みのときは吃らないことが多いのである。

2.声出しのあと、木下ほうか氏が演じる上司が、さくらに新人を紹介するシーン
このシーンを見て、非吃音者(健常者)はすでにとても違和感を感じるかもしれない。
上司が話しかけていて、新人さんを紹介して、お互いに自己紹介をするようにお膳立てをしているところである。さくらが『ニコッ』っと笑顔で頭を下げるシーンは吃音者あるあるネタである。吃音者の処世術と言っても過言ではない。

3.女子職員同士のお昼ごはんシーン
さくらからは会話に入ってこない。
無言で頷くとか、笑顔で頷くとか。これも吃音者のあるあるネタである。
だけど、本当は会話に参加したい。さくらの心の中では会話にツッコミを入れていることや参加しているかもしれない。笑顔で煙草を取り出すシーンも、煙草を吸いに行くという口実で、その場から退席する手段かもしれない。


・余談1 さくらの煙草を吸う設定について
さくらが煙草を吸うのは、吃音者にありがちな「●●依存」かもしれません。
または煙草を吸っていると、落ち着くだとか。「煙草を吸いに行くという」理由付けに利用できると考えているかもしれません。

仮に依存症として。例えば、吃音者に限らず、色々な障害がある人、社会的障壁がある人などは、何かに依存している場合があります。あくまで一部の人の例として、買い物依存、アルコール依存、薬物依存、ギャンブル依存、性行為依存、恋愛依存、コーヒー依存、煙草依存、摂食障害、などあります。

さくらが煙草を吸うのは依存なのか?
吃音者処世術の1つなのか?
ただ、単に煙草を楽しんでいるのか?
これはわかりません。


4.昼休みの屋上シーン 新人歓迎会の話
女性同僚達が、新人歓迎会を開こう。
このドラマでは基本的に同じ部署の先輩が新人歓迎会の幹事をやるのが慣例のようです。
さくらは声も発することなく、引き受けた形になっています。
いいえ。本当は口が少しパクパクしています。
『えっ?私は幹事は向いていないと思います』と言いたかったのかもしれません。

内心、とても不安でしょう。
どうやって予約しよう。
いやそれよりも、『吃らないで発話できる、名前の店舗から検索するかもしれません』
このようなことは吃音者ではよくある話です。
言いやすい学校名や社名のところに入学したい入社したい。
言いやすい名前の自動車を買う。
2016年現在こそ鉄道はスイカなどのICカードをタッチして乗降車できます。
しかしICカードが普及する以前は、行き先の切符を口頭で発話して窓口で購入しなければいけない時代がありました。吃音者は自分の目的地の駅名を吃って言えない場合、その次の駅、その次の次の駅名を、言えるような駅名を余分なお金を支払ってまで購入していた例もありました。

それと、優香という同じ職場の女性はなんとなく、さくらが話すことが苦手な人だと気付いているように設定されているのでしょうか?

・余談2 耳鼻咽喉科医師の設定??
神代が馴染みのライブハウスを訪問します。
ここで笹との会話の中で「増村」という耳鼻科医師が出てきます。
もしかすると、吃音ドクターこと、九州大学病院の菊池良和医師を下敷きにしているのかもしれませんね。

5.さくらが自宅に帰宅したシーン
真美とさくらが生活しているマンションのシーンです。
ラヴソングを見ている非吃音者(健常者)の方々はここでとても驚いたと思います。
さくらのしゃべり方です。
そうです。これが、「さくら」の「吃音」です。
そうです。これが「吃音」ですとは言えません。
吃音は本当に人それぞれで十人十色であり一人ひとり異なるのです。

真美はさくらとの付き合いがとても長い親友という設定です。
さくらは、新人歓迎会の電話をしなければいけないことを、なんとなく真美に伝えます。
電話予約をしてくれないかな?って内心強く思っているのです。

吃音者の中には、自分は吃ってしまうから、他人よりも他のことをして気遣い心遣いをして、相手の役に立って、その見返りとして、吃音を多めに見てもらおうという処世術を身に着けている方々もいます。今回は真美とさくらの関係が親友ですが、これが社会人となって職場の人間関係になると、結構シビアです。社会人になった吃音者は上手く相手に取り入ったり、一生懸命に仕事してアピールします。そしていざ、発話する場合などは相手にやってもらうという形です。


この真美とさくらのシーンですが。
真美がさくらが吃っていようが、普通に接していますよね。
これが、吃音者に対する究極の合理的配慮だと私は見ていて感じました。

2016年4月1日から障害者差別解消法が施行されました。官公庁なら義務、民間なら義務ではないが努力です。吃音は発達障害者支援法にも定義されている発達障害(手帳は精神障害者保健福祉手帳扱い)です。吃音者への合理的配慮、「吃音を笑わない」、「吃音を怒らない」、「吃音を理由にして排除しない」この3つが大切だと思います。車いすを利用している人に『頑張れ!!頑張って訓練して努力して、健常者のように歩けるようになるんだ!!』ではなくて、『車いすでも、何処へでも移動できるように障壁を無くすね!!まだ追いついていないところは私たちがカバーするから!!』という例があります。
吃音の場合は『吃音者に向かって、健常者のように普通に話せ!訓練しろ。努力しろ。普通になれ!じゃないと仕事にならんぞ!!』なんて言ってはいけないのです。吃音者は、ただ話せないのです。上手く発話できないのです。でも、それってそんなに重要なことではないと思います。もっと社会が寛容になればいいと思います。いらっしゃいませが言えないお店の店員が存在してもいいじゃないですか。

6.整備工場でさくらが働くシーン(神代が夏希の家に行ったあとのシーン)
さくらが寝板(メカニッククリーパー)に寝転んで自動車整備のオイル交換を行っていますね。
と、その時、新人の高橋に危険が迫ります。落し物を拾う直後に背後から吊るされたエンジンが接近しているのです。それを発見したさくらは高橋に寝板ごと体当たりして、エンジン直撃コースから高橋を救います。高橋は、『危ない!』と声出せばよかったのに…と投げかけます。それを見ていた滝川工場長は「声がけしたのか?」とさくらを注意します。(工場長に何か怒られると思ったさくらは、素早く寝板ごと整備車両の下に逃げ込もうとしましたが阻止されましたね。吃音者はこのような自身に振りかかる悪いことの空気を感じ取るのも得意です。)

特に滝川工場長の言葉は吃音当事者にとって辛いもの苦痛なものです。

『おい。佐野。お前ちゃんと声がけしたのか?何度も声がけが大事だっていったよな?コミュニケーションが苦手ですじゃ済まないんだよ。いい加減克服してくれよ』

『返事は??』

これが吃音当事者から見るととてもショックな内容でした。


でも滝川工場長も悪意でやっているわけではありません。
吃音というものを知らないのだと思います。
それに、さくら側も吃音のことをカミングアウトしていないのだと思います。

このシーンは吃音当事者からすれば、本当によくわかります。
吃音があって、どうしても、どうしても、今すぐ伝えなければいけない。
でも言葉が出ない。発話できない。
じゃあどうする?
と考え抜いた末のさくらの決断です。
それが寝板ごとの体当たりだったのです…。


7.いよいよ、さくらと神代臨床心理士が対面します
新宿総合病院 メンタルヘルス科の臨床心理士 神代 広平と名刺には書かれていました。
東京都新宿区若松20-5-9という架空の住所ですが、国立国際医療研究センター病院(国立研究開発法人)かもしれません。

ついに神代とさくらの対面です。
神代が一方的に話しかけます。
常にずっとずっと話しています。
さくらは、この時、心の中でどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようとパニックモードになっているはずです。
何とか話そうと、口をパクパクさせ、咳払いをして、話そうとします。

吃音当事者からすると。すでにこの時に吃音者は全て頭の中に『しゃべりたいこと、話したいこと全部』が考えられており、ただ、発話ができない状態に陥っています。

さくらが「だ、だ、だ、だ、だ、大丈夫です」と顔の表情を歪ませながら、握り拳で足を叩きながら発話しようとしていますね。これは『随伴運動・随伴症状』と言われるものです。吃音者は発話しようとすると身体のどこかが動くことや、顔の表情が歪むこともあります。さらに発話しようとするために、唾液を飛ばしてしまうこともあります。

さくらは「大丈夫」を言ったあとに、涙を流しています。
それだけ、さくらは感情が昂ぶっていたようです。

さくらが部屋から退出するときのドアを引くネタが印象に残りました(笑)

神代の部屋から出てきた、さくらに対して滝川工場長はこのように言い放ちます。
『おい。治らなかったら首だかんな。首だ…』
と伝えます。これは実際に吃音者にある話です。

毎日新聞社記事 シリーズ となりの障害 吃音の回です。
Googleクロームのシークレットモードにて閲覧してください
http://mainichi.jp/articles/20160319/ddm/013/040/014000c


さくらは野村のコネで会社に入社できたパターンの吃音者のようです。
しかし、2016年現在の吃音者はそう簡単に就職活動は上手くいきません。
1にコミュニケーション能力 2にコミュニケーション能力と言われる日本社会だと、余程の高学歴な吃音者や、特定のスキルや専門資格、国家資格を持っている吃音者でなければ就職はできません。自営業やフリーランスとして働く吃音者もいます。夢破れた吃音者は不本意非正規雇用などに落ちぶれていきます。精神的ダメージが大きい吃音者はひきこもりやニートになってしまうかもしれません。もしかしたら、世の中のひきこもりの中には吃音者がいるかもしれませんね。


8.さくらが自宅に帰宅 すると真美が結婚??
さくら 真美 空一 野村の4名で食事会。
なんと真美と野村が結婚するという。
真美はさくらに結婚式のスピーチを依頼する…。

野村は「スピーチはさくらちゃんに頼もうと。こないだね…」
凍りつく一同。
凍りつくさくら。
真美、空一の二名はさくらが、話すことが大変だと理解しているようだ。(吃音という言葉まで認識しているかは不明)

さくらは真美から真剣に結婚式のスピーチを依頼されるが、さくらはビールを買いに行くということでその場から去ってしまう。

さくらの気持ちとしては、私が言葉を話すことがダメなのに。なんで大勢の前で喋らせようとするんだろう。馬鹿みたい。2人の結婚式台無しになるかもしれないのに。何言ってんだろ。という感じと、もう一つ言い表しがたい感情があったように思える。

9.神代と夏希が吃音について話し合うシーン
吃音の女性がいることを神代が夏希に相談する。
吃音の説明セリフ満載の、解説のためのシナリオだろうと感じた。
吃音の説明や、吃音者が抱える悩み、言いたいことが言えないとか会話に参加できないとか。
夏希がとても丁寧に視聴者に説明してくれる。
吃音は大人になってからだと治すことは難しい。訓練、リハビリで軽減することはあるけどそれ以上はないということである。ならば逆に吃音を受け入れてみるのはどうだろうかというわけある。

10.さくら、真美、空一の過去回想シーンである
さくらは小学生の段階で吃音が発生しているので、発達性吃音であることがわかる。
発達性吃音の場合は成人するころには完全に消失する人もいる一方でさくらのように消失せず治らない人もいる。この場合、「吃音が治ってしまった人」が「吃音が治らない人」に対して
吃音を治す方法を私が教えてあげようだとか、吃音を治す努力をしないのは甘えだ怠惰だと説教をする場合もあるので要注意である。吃音は治る人もいるし、治らない人もいる。だがしかし、その原因やメカニズムが解明されていないので、治る人とそうでない人の違いは何かわからないのである。

この過去シーンも吃音当事者にとっては直視できないものではないかと思う。
BGMも更に涙を誘う。
上手く話せない、発話できないというのは、子どもにとってはとても楽しいエンターテイメントである、子どもとしては悪意はないにしても、やはり自分たちと違う人間を識別して危害を加えるのはよくあることである。もっとちゃんと吃音のことを説明していれば。ああなるほどと思ってくれると願いたい。

さくらの過去のように幼少期から、吃音が原因で自己肯定感・自己効力感が低下し始めると、外在化障害や内在化障害、二次障害や●●依存が出てくる場合もあるので注意が必要である。特に吃音に限らず、障害や障壁がある子どもの教育環境はとても大切であることは間違いない。当事者の思考パターンや性格人格形成に大きな影響を与えるからである。マイナスな環境にいれば不登校になったり、進学したかったが高校も大学もいかなかった。故に人生の選択肢が極端に少ない。イジメをしていた連中は大学まで行って新卒で就職して結婚して子どもができてマイホームを買って、豊かな人生を送るということである。ラヴソングというドラマではさくら1人の吃音者が登場するのか?今後、複数の吃音者が登場するのかはわからない。おそらく吃音者の先輩的なロールモデル役は登場するだろうと思う。発達性吃音は小学校で6%程度発症して、成人しても吃音が継続する者が1%であるから、意外と存在するものである。


過去回想シーンから離脱して、随分遠いところまでお酒を買いに行って帰宅したさくらと真美の会話。このシーンを見ているとさくらと真美の信頼関係はとても強い絆であると思える。真美も真美で児童養護施設出身ということを悩んでいるのである。さくらは本当は心のなかで色々と真美に話しかけたい声をかけたいことが巡っているかもしれない。吃音者はこのような重要なときも発話出来ない場合がある。

結果としてスピーチはしなくていいからねと言われてしまう。



もしもフジテレビが間に合うのであれば、副音声で、さくらの心の声を放送すべきではないか?
とも思う。発話したい本当に心で思っていることを副音声で解説してくれれば吃音者の苦しみが非吃音者(健常者)にも伝わるのではないかと

11.さくらの本心 吃音を治したいと神代のところに訪ねるシーン
さくらは結婚式のスピーチを本当はしたかったのかもしれない。
吃音を治したいと神代に伝える。
吃音当事者は涙なしでは直視できないだろう…。
神代は、僕は臨床心理士だから言語聴覚士を紹介する。
「いいんじゃないですかね?キミはキミのままで。吃音があっても上手く付き合っていけばいいじゃない」と言ってしまう。
これは対応を間違えている。
吃音を治したいと希望を伝えてきた患者には、そのメニューをできる限り実行するべきである。そして患者が気づき始めたときにまた別のメニューを示すべきではないかと思うのである。一丁目一番地から「吃音を受け入れろ」と言われても吃音当事者は逆に辛い経験になるだろう。さくらも「もういいです」と部屋を出ていってしまった。

12.さくらが一生懸命同僚職員に新歓の場所を相談するシーン
おそらく、真美の結婚式スピーチを頑張ろうと思ったさくらが、まずは手始めに新人歓迎会の場所を自分で連絡してみよう!というスイッチが入ったところを描いているシーンである。職場の休憩室で神代と顔を合わせるがさくらは、会話に発展するのを避けるためさっさと出ていってしまう。これも吃音者によくあることである。一度この人は信頼ならないと思えばこうなってしまう場合もある。

新人歓迎会の店名が「さしすせそ」なのは。
吃音当事者で「さ行」の発話が苦手が人が多い???というのを暗示しているのかな?とも思う。

空一はなんだかんだいって、さくらの電話練習に付き合う、結婚式のスピーチも無理してやらなくていいと言う。しかし長年のさくらとの友情関係でコレは本気のさくらだと直感した空一は練習を継続しようと言う。本当に良き理解者である。

13.さくらが実際に電話を「さしすせそ」にするシーン
ドラマ視聴者はまた、驚くだろう。
なぜ、電話ごときにここまで話せないのだろう。
空一と練習だってしたんじゃないの?
さくらは上手く電話ができずに相手に電話を切られてしまう。
これも吃音当事者にはあるあるネタすぎて、号泣シーンだと思う。


そうなのです。それが正常な感情です。
誰もが思うことです。
でも吃音を知ってください。
これが吃音なのです。吃音とはこんなにも辛く大変なのです。
もしかするとインターネット、ホットペッパーで予約すればいいじゃない?と思うかもしれないけど、吃音者だって吃音から逃げ続けることよりも挑戦したいと思うのです。そんな感情を上手くドラマは表現できていると思います。


結局、さくらは、直接お店を訪問して予約をすることにした。
さくらは「喋ることを伝えることを全てメモにしている」、これも吃音当事者処世術の1つである。

たまたま客席にいた神代はそれを目撃するわけである。ここらへんで、さくらが本気だと考えなおすのかもしれない。


夏希の家に帰宅し、ソファーで横になる神代。
眠っている神代の右手には【吃音の基礎と臨床―統合的アプローチ: バリー ギター  長澤泰子訳】が…。

この書籍は実在する書籍で日本国内では吃音に接する人間が必ず読破しなければいけない書籍である。学苑社が出版している。ちなみに長澤泰子先生とは日本でとても有名な吃音研究者である。国立特別支援教育総合研究所の平成26年「辻村賞」を受賞しているプロフェッショナルである。


14.500マイルの鼻歌を歌い 屋上で喫煙するさくら そして神代
鼻歌を偶然聞いてしまう神代。
神代の中から過去の記憶が蘇るシーンでもある。
そのまま鼻歌を聞き続ける神代。
このドラマの歌を通して心を通わせるテーマの伏線である。

15.新歓の予約とれたよと女子職員に報告するが キャンセルされたのであるの巻
さくらはやっとできた新人歓迎会の予約を報告するが。
別に良い店があるとのことで、そっちに流れてしまう。
ここでも、優香が率先して「じゃあもくが予約した店私がキャンセルするね」と電話をかけてくれる。
優香という人はなんだかんで、さくらの、それに気付いているのかもしれない。
でも、そこはスマートに対応してくれるようだ。

16.外出していた神代がさくらをゲームセンターで発見
さくらは、この時点で、すでに神代を「どうでもいい人リスト」に分類しているので。
とても冷たく接する。
もう、話しかけてほしくないオーラ全開である。
吃音者のとの信頼関係はとても壊れやすいものであるとの説明シーンかもしれない。


17.滝川工場長がさくらはクビだと神代に伝えるところ
滝川工場長のようなことを考える人はよくいるものだと思う。
吃音を治さないと社会人失格だと思っているのである。
これはもはや『認知の歪み』ではないかと感じる。
なぜここまで、上手く発話できないことにこだわるのか???

これは実際の日本社会で起きていることなのでドラマとして演出したのだろうと思う。
吃音が原因で会社をクビにされる、または、辞めるように仕向けられることはよくあることなのである。

18.無断欠勤したさくらを怒る真美
会社を無断欠勤したさくら。自宅で格ゲーをしている。
ここでさくらはさくらで感情を爆発させる。
真美に結婚してほしくないこと。
真美まで上から目線で接している、応援されているという自分自身が嫌だという―。

そのまま自宅を飛び出したさくらは踏切へ向かう。
たまたま神代がその場に駆けつけてきて最悪の事態は避けられる。

19.宍戸スピーチクリニックにて、ついにさくらの歌声が―。
ここは第一話の重要なシーンなのでネタバレはやめようかなと思います。




・余談3 言語聴覚士や臨床心理士は「医師の指示が無いと自由診療」
吃音者を取り巻く環境には。
コンプレックス商法がある。
体質とか体重とか外見とか見た目とかニオイとか。
世の中には様々なコンプレックス商法がある。

さて、吃音もその例に漏れずコンプレックス商法がある。
インターネット上にはびこる、「これで吃音が治った ●●訓練法」というものである。
Twitterやインターネットでも『これは吃音者の実体験ブログかなと読み進めると●●法で吃音治った』という情報商材がとても多く氾濫している。

はっきり言うと。
吃音が治るなら、治る方法があるなら、医学会に論文を発表すべきである。
ノーベル生理学・医学賞は間違いない。
これで地球上の吃音者は救われる。
なぜコンプレックス商法で金儲けをするのだろうか???

さて脱線した。
実は吃音は「保険診療」ができる。
しかし、医師法と言語聴覚士法に従わない言語聴覚士が存在するのも事実であり。
自由診療でお高い治療費を藁をもつかむ思いの吃音当事者へ請求する場合もある。
保険診療ができるのに、なぜ、医師がいるところで活動しないのか疑問である。
このドラマでは、医師の指示が無いように見えるが……。
もちろん、医師の指示を受けずに今の日本では言語聴覚士や臨床心理士が単独で医療類似行為
として吃音を診療することは可能といえば可能である。厚生労働省によると『言語聴覚士や臨床心理士が診療診察をして病名をつけないこと。患者に触ってはいけない』ということになっている。これがあるのでグレ-ゾーンとして商売が成立するわけである。

だだし、どうせなら。ちゃんと医師免許をもった人間と連携して、保険診療ができる状態にしてスピーチクリニックなどを開業してほしいものである。自治体によって異なるが子どもの医療費が無料の所もある。治したいと思う吃音者からお金を巻き上げるのはやめてほしいのである。このラヴソングがきっかけとなり、医師が言語聴覚士と臨床心理士(公認心理士)が連携してほしいところである。

しかし問題もある。実は吃音は身体障害者と思われていた時期があるのだ。
2016年現在、吃音で困っている人間は『耳鼻咽喉科』にいけばいいのか?
発達障害であるから『精神科・児童精神科』にいけばいいのか?
ここらへんがはっきりしていない。厚生労働省による吃音診療ガイドラインが発表されていないため、どの病院にいけばいいのか不明なのである。

2005年から発達障害者支援法に定義されるようになったが、それも周知徹底がされておらず、2014年7月にそれが突然公になった形である。その名残もあり、重度の吃音者は身体障害者手帳を取得できる可能性がある。それ以外の軽度中度の吃音者は発達障害扱いで精神障害者保健福祉手帳を取得できる。
身体障害者の場合は明確な数値やルールを下回る場合でないと交付は認められない。
しかし発達障害は『たとえ1%でもその社会的障壁で本人が困っていれば、精神障害者保健福祉手帳申請書類を丁寧に医師に書いてもらえれば最低3級が交付される』

このドラマをみた非吃音者(健常者)の人は、どんなに軽度な吃音者でも、その人が困っている、1%でも配慮されている場合は精神障害者保健福祉手帳を申請できると覚えておいてほしい。現在、インターネット上では軽度の吃音者は障害者手帳を取得できません!などというデマが流れている。しかしどんなに軽度な吃音でも問題ない。

東京都であれば、このブロク主が東京都内の病院を紹介します。
そこなら障害者手帳申請書類を書いてくれます。
詳細はメールフォームよりお問い合わせください。



◆余談4 2018年から事実上の精神障害者保健福祉手帳(精神障害者・発達障害者)の雇用義務化開始

2018年から障害者雇用のルールが変化します。
法定雇用率の計算式が変化します。
今までの計算式「身体障害者と知的障害者」から
新しい計算式「身体障害者と知的障害者と精神障害者」という算定式になります。
義務化ではありませんが、事実上の雇用義務化と言えるでしょう。身体障害者、知的障害者の数と精神障害者の数は精神障害者のほうが多いのです。そして、精神障害者以外の人は就職転職の流動性が低い傾向にあるからです。

今後は、うつ病、統合失調症、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)、トゥレット症候群、吃音などの当事者も計算することができるようになります。

もちろん、医療機関での診断、精神障害者保健福祉手帳所持者という条件はあります。
官民企業団体の総務、人事、障害者雇用担当の職員さんは覚えておいたほうがよいでしょう。


厚生労働省の障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律の概要
PDF版




◆言語聴覚士法を読んでみよう このように書かれている 医師の指示はありますか?
保険診療できていますか?
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO132.html

  第四章 業務等

(業務)
第四十二条  言語聴覚士は、保健師助産師看護師法 (昭和二十三年法律第二百三号)第三十一条第一項 及び第三十二条 の規定にかかわらず、診療の補助として、医師又は歯科医師の指示の下に、嚥下訓練、人工内耳の調整その他厚生労働省令で定める行為を行うことを業とすることができる。
2  前項の規定は、第九条第一項の規定により言語聴覚士の名称の使用の停止を命ぜられている者については、適用しない。

(連携等)
第四十三条  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、医師、歯科医師その他の医療関係者との緊密な連携を図り、適正な医療の確保に努めなければならない。
2  言語聴覚士は、その業務を行うに当たって、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者に主治の医師又は歯科医師があるときは、その指導を受けなければならない。
3  言語聴覚士は、その業務を行うに当たっては、音声機能、言語機能又は聴覚に障害のある者の福祉に関する業務を行う者その他の関係者との連携を保たなければならない。










◆フジテレビのドラマ制作部門はラヴソング、第二話からでいいので、さくらの心の声を副音声で放送したほうがいいのではないか?
これは吃音者の本当の心の声を非吃音者(健常者)に知ってほしいからである。
そして、吃音があって、言いたいことが言えない辛さとはどんなものなのか?
これを少しでも知ってもらえたらと思うのである。


◆番組の紹介
ラヴソング【福山雅治が3年振りに月9に帰って来る!30分拡大SP】
ある孤独を抱えた女性の片思いから始まる成長物語。年上の企業カウンセラーと出会い、音楽を通じて心を通わせていく。互いの心が交錯するとき人生が変わり始める


◆【解説】ラヴソング第ニ話を吃音当事者が解説
http://stutteringperson.blogspot.jp/2016/04/blog-post_12.html

番組詳細 【番組ホームページ】 http://www.fujitv.co.jp/lovesong/

 神代広平(福山雅治)はプロのミュージシャンだったが、今は別の仕事をしている。独身で定住はせず、持ち前のルックスを活かして女性の家を転々とする生活。この日も、そろそろ潮時と感じた女性に別れを告げ、少ない荷物とギターケースを担いで出て行った。  佐野さくら(藤原さくら)は、大型車販売店の整備工場で働いている。愛想は悪くないのだが、同僚とうまくコミュニケーションがとれず、上司の滝川文雄(木下ほうか)に
いつも注意されていた。さくらへの注意を終えた滝川が、先生と呼んで挨拶したのが神代。神代は企業カウンセラーとしてこの会社に勤務していた。  仕事を終えた神代はライヴハウス『S』へ。家を失った神代はオーナーの笹裕司(宇崎竜童)に当面の宿を頼むが、断られてしまう。笹はまた宍戸夏希(水野美紀)に頼めば良いと神代に促す。夏希に頼むのは気がひける様子の神代はマンガ喫茶に一夜の宿を求めるが、どうにも居心地が
悪く、仕方なく、夏希の家に転がり込むことになった。  そんなある日、さくらは職場でミスをしてしまう。仕事仲間とのコミュニケーション不足を案じる滝川は、さくらを神代に診てもらうことに。神代はさくらに優しく対応する。  その後、さくらが児童養護施設時代からの姉代わり・中村真美(夏帆)と一緒に暮らす家に帰ると、同じく幼なじみの天野空一(菅田将暉)が来ていた。そこでさくらは、真美からあることを頼まれる。

【脚本】 倉光泰子  【音楽】 菅野祐悟  【プロデュース】 鈴木吉弘  草ヶ谷大輔  【演出】 西谷弘  平野眞  【制作】 フジテレビドラマ制作センター

■出演者
神代広平 … 福山雅治
佐野さくら … 藤原さくら
天野空一 … 菅田将暉
中村真美 … 夏帆
渡辺涼子 … 山口紗弥加
滝川文雄 … 木下ほうか
星田和夫 … 渋川清彦
野村健太 … 駿河太郎

増村泰造 … 田中哲司
湯浅志津子 … 由紀さおり

笹裕司 … 宇崎竜童
宍戸夏希 … 水野美紀

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